産婦人科領域悪性腫瘍のNude Mouse 移植に関する研究 : 特に性腺悪性腫瘍の継代移植について
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概要
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産婦人科領域ならびに性腺悪性腫瘍41例をNude mouseに移植し,次のような成績を得た.(1)移植腫瘍が1O週迄に2〜3倍に増大したものを初代移植成功例とすると41例中13例(31.7%)であった.(2)初代移植腫瘍13例中4例(30.7%)が継代可能であった.その内訳は,卵巣clear cell carcinoma(J.O.A・1)1例,F-16,卵巣endodermal sinus tumor(J.O.G-1)1例,F・15,睾丸embrycnal carcinomaadult(J.T.G-1)1例,F-15,そして未分化子宮内膜癌(J.E.A-1)1例,F-7,である.現在継代移植率100%,それぞれ安定した発育速度を示している.(3) 移植腫瘍の生着率を原発,転移腫瘍,腫瘍細胞の分化,未分化と分けて検査をすると,転移あるいは未分化腫瘍が11例(84.5%)を占め,原発あるいは,分化型腫瘍より優位の成績を示した.(4) 移植直前の腫瘍の機能ならびに形態面における変化を検討すると,胚細胞系腫瘍とホルモン依存の内膜癌を除き,それらの性格を基本的には維持しているものと考えられる.このことは,現在使用されている抗癌剤ならびに今後開発される抗癌性物質の効果判定に極めて重要な意義を持つ.(5) 胚細胞系腫瘍である,J.O.G-1,J.T.G-1の移植前後における機能,形態両面における変化は,本腫瘍が分化したと推定される所見であり,本腫瘍がmulti-potentialな胚細胞の腫瘍化と考える従来のTeilumの仮説の一部を実証し得たと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-03-01
著者
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