奇胎後絨毛癌の発生予防に関する研究
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概要
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昭和46年より昭和52年までの間に,新潟県では絨毛性疾患について100%の登録が実施できた.すなわち878例の奇胎,76例の破奇,40例の絨毛癌がセンター病院である新潟大学に登録された.奇胎管理では,妊娠終了後8週以上経た時点で尿中hCG値をHi-gonavis法により測定し,そのLHレベル(卵巣機能を有する婦人では20iU/l,卵巣機能を有しない婦人では80iU/l)への下降の有無を調査した.破奇患者では,手術あるいは化学療法などの治療終了後における尿中hCG値のLHレベル到達の有無を調べた.これらの尿は,郵送法により全てセンター病院で検査を行つた.このようにしてLHレベルを確認し得た症例は,奇胎,破奇を合せて954例中870例(91%)に達した,これらの登録奇胎,破奇患者954例について,続発絨毛癌の発生を調査したところ,一次管理870例から2例(0.2%),観察期間3〜9年の間に二次管理例868例から6例(0.7%)の絨毛癌が発生した(うち1例は区分不明だが,石塚の絨腫診断スコアによる絨毛癌),破奇は全て一次管理において診断され,二次管理からの診断は1例もなかった。また管理されたかった84例からは3例(3.6%)の絨毛癌発生をみた.このように奇胎後に尿中hCG値のLHレベルを確認する管理を徹底することによって,続発絨毛癌の発生を少なくとも非管理例の約1/5に減少させることができた.また管理された奇胎から絨毛癌が発生したのは,40歳以上の高年婦人に多く,かつ破奇あるいは転移性奇胎患者であり,(単純)奇胎(絨毛の子宮筋層侵入および転移の無い奇胎)からの発生はみられなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-01-01
著者
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