多変量解析による分娩難易度の予測とその臨床応用に関する研究
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概要
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線形判別関数を用いて分娩難易度を客観的に予測するための計量診断モデルdystocia indexおよびCPD indexを開発し,external checkによりその臨床的評価を行った.また常時利用由来るコンピューター端末を用いることにより,日常臨床への応用を実現した.1)CPDによる帝切例57例と鉗子または吸引分娩例110例について判別分析を行い,約80%の正診率を得た(internal check)2)第1群.(布切群)に属する確率は,p.f_1(x)/P.f_1(x)十q.f_2(x)=1/1+q/p.f_2(x)/f_1(x)=1/1+q/p.e^<-2>(Zは判別得点)で表わすと便利であるが,q/p(両群の事前確率の比)のとり方によって計算される確率が大きく異なる.1/1+q/p.e^<-2>はロジスティヅク曲線と呼ばれる. 3)初産,単胎,頭位でX線骨盤計測を打つた438例よりなるextemalsampleを用いて,臨床的に最適なq/pを求めることを試み,q/p=2/1のとき産科手術(布切,鉗子,吸引)を要する確率を奉わし,q/p=7/1のとき布切を要する確率を表わすことが判明したため,前者をdystocia index,後者をCPD indexと定義した.4)dystoc indexが高くなるほど分娩停止や分娩遷延,および1分後Apgar score7点以下の症例の割合が増加する.5)本診断モデルを日常臨床に応用するため,東大病院情報処理部のミニコンピュータTOSBAC40(TSS)に各indexの計算過程のプログラムを内臓させ,分娩棟に設置した端末機より各症例についての必要なデータを入力すれば直ちにその結果が出力されるようにした.現在本システムは当院産科臨床において日常的に有効に利用されている.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-03-01
著者
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