Affinity ChromatographyによるHuman Placental Lactogen (HPL)の抽出精製とその線溶作用に関する検討
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概要
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現在HPLには国際的に指標となる純品がなく,その抽出精製法も未だ確立されていない.したがってその生物学的作用についても未だ不明な点が多く,検討の余地があるとされている.今回私はaffinity Chromtography による操作の比較的容易なHPL精製法を開発し,得られたHPLの生物学的作用について検討した.HPLの抽出精製には,まずFriesen^<6)>の方法をやや改良した方法でヒト胎盤よりcrde HPLを抽出した.CNBr-activated Sepharose 4B に市販の抗HPL血清をcouplinし,これにcrude HPLを付加してaffinity chromatographyを行いHPLを精製した.得られたHPLの純度を検討し,その生物学的作用について従来のHGHとの免疫学的交叉性を検討するとともに,新しく線溶系における作用を検索した.その結果,精製HPLは免疫学的に抗HPL血清との聞に強い単一の沈降線を認めるのみで,その他のヒト血清蛋白の混在は認められず,polyacrylamide disc electrophoresisおよびSDS-polyacrylsmide disc electroPhoresisで1本のbandを示したことから蛋白体として明らかに単一のものであると考えられ,その分子量は約25,000と推定された.精製HPLの生物学的作用について検討し,従来の抗HGLとの免疫学的交叉性を確認した.さたに脱plasminogenされたfibrin plateで,streptokinaseおよびurokinasを精製HPLに加えると,ともに明らかな溶解ringの形成が認められたことから,HPLは線溶系においてplasminogen様作用を有することが明らかになった.このことは妊娠時の凝固線溶系のhomeostasisを保持する上にHPLが重要な働きをもつ一因子であると考えられ,従来から述べられているHPLの生物学的作用以外に全く新しい未知を加えるものであると結論を得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-03-01
著者
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