Radioimmunoassayによる妊産褥婦血中Oxytocinの動態とその意義について
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概要
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従来ヒト血中Oxytocin(以下ox)濃度の正確な測定は困難であり,妊娠,分娩時における動態や意義に関しても不明のまゝであつた.著者は高感度で特異性の高いRadioimmunoassay(以下RIA)により,成人男子および母体血中ox濃度を測定し,以下の結果を得た. 1. 妊婦血中ox濃度は妊娠の経過と共に上昇し39週でpeakをしめした(妊娠初期:7.04±1.38pg/ml,中期: 16.05±6.66pg/ml, 38〜41週: 27.77±12.13pg/ml). 2. 分娩時血中ox濃度は第1期で33.1±12.1pg/ml,第3期(児娩出直後)で37.1±17.6pg/mlであつた. 3. 産褥の血中ox濃度は産褥3日目で23.79±12.52pg/ml, 7日目で6.21±3.06pg/mlであつた. 4. 授乳に伴う血中ox濃度の変動は,授乳前3.66±1.63pg/ml,授乳中6.16±3.48pg/mlと,授乳開始後そのlevelは上昇した. 5. Prostaglandin F_<2^α>(以下PGF_<2^α>)点滴静注時の母体血中ox濃度は,有効陣痛発来例では点滴前に比して平均10.33pg/mlの上昇を認めたが,有効陣痛非発来例では有意の変動を認めなかつた. 6. 分娩時血中ox levelと陣痛の強さとの間に相関はなく,また陣痛発作時と間歇時とのox levelの比較でも一定の傾向は認めなかつた. 7. 分娩第1期における血中ox濃度と頚管開大度との間に相関は認めなかつた. 8. PGF_<2^α>を点滴静注した成人男子の血中ox levelは点滴開始後全例で上昇し,点滴終了後45分でほゞ点滴前のlevelに下降した. 9. 以上の結果より,PGF_<2^α>点滴時の血中ox levelの上昇はFerguson reflexによるものではなく,PGF_<2^α>の下垂体後葉刺激の結果ox放出の促進に基因するものと推察された. 10. 分娩時における後葉よりのox放出のpatternは間歇性である。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-05-01
著者
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