正常月経周期,正常初期妊娠の血中ホルモン動態について
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概要
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初期流産,黄体機能不全,排卵誘発例等の内分泌動態を分析するための正常対照を得るべく,正常月経周期16例,正常初期妊娠14例につき,排卵前より可及的経日的に血中LH (HCG), FSH, P, E_2, HCG (RIA法,RRA法,及びβ-subunitのRIA法)値を測定し,正常域(M±SD)を設定した. 1) 正常月経周期においては,LHは排卵期に鋭いLHピークを示し,卵胞期では後半の方が前半よりも高く,黄体期では前半の方が後半よりも高値を示し,LHピークを中心とする山型のカーブを示した.卵胞期の平均は黄体期の平均とほぼ同等の値であつた. FSHはLHピークに一致して小さなピークをつくり,卵胞期の方が黄体期より高値を示した.PはLHピーク後,増加し始め,+6日〜+9日に6ng/ml〜18ng/mlの正常域を待つピークを示し,この間5ng/ml以下の値を示す例は存在しなかつた.E_2は,-5日より増加し始め,-1日にピークを示し,次いで0日が高く,+1日に極小,+6〜+9日にかけ再び小さなピークを形づくる. 2) 初期妊娠においては,LH (HCG)は+11日に正常月経周期の値を有意に越し,+20日にはLHピークを有意に越し,+21日以降急増する.FSHはLHと一致した小さなピーク後,妊娠が成立しても卵胞期より低値の黄体期レベルを持続する.Pは+12日より正常月経周期の値を有意に越し,以後漸増して+42日頃,一時低下し,その後再び増加する.E_2は+13日より正常月経周期の値を有意に越し,+28日より急増する.HCGのβ-subunitは,早いもので+9日より検出され,RIA, RRA値ともに+49日頃ピークを示す.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-03-01