妊娠後期におけるestriolの動態と血漿蛋白との結合に関する研究
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概要
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estriolにきわめて特異性の高い抗体を作製し,これを応用する事により,被検尿を加熱水解,希釈するだけでestriolを測定し得る,簡易で精度の高いradioimmunoassayを開発し,妊娠後期の尿中総estriol濃度を測定した.さらにestriol-3-sulfateおよびestriol-3-glucosiduronateに対して特異性の高い抗体を作製し,これを用いて両抱合型estriolを測定した. その結果,妊娠後期全般にわたり,抱合型estriolの総estriolに対する比率は33.4%であつた.次に血漿蛋白とestriolとの結合を実験的に検討した.その結果,estriol-3-sulfateとestriol-3-sulfate-16-glucosiduronateについては,ヒト血清アルブミンおよび,産褥婦人血清に対して2種類以上の結合基が認められ,それぞれの結合定数と結合基数は,k= 0.3〜0.003μM^<-1>, n= 0.5〜5.0の間に分布するものと推定された.またこの結合は他の硫酸塩基をもつ抱合型ステロイドと競合して結合率が減少するのが認められた. estriol-16-glucosiduronateについては,かなり弱い結合しか認められず,k=0.0003μM^<-1>, n=24附近と推定される1種類の結合基を証明し得たのみで,他の抱合型ステロイドとの競合も認められなかつた. 以上の結果から,抱合型estriolと血漿蛋白との結合に関しては,硫酸塩基が結合の主体であり,血漿中のアルブミンと結合している事が明らかになつた.その結合基数が1以下になる部分については,本実験に用いたヒト血清アルブミンをSephadexにより分離すると,複数のピークを示し,均一の蛋白でないために生じたものと推定された. したがつて血中と尿中とでの抱合型estriol分布に差を生ずるのは,この血漿蛋白との結合が関与して,腎からの排泄に差異を生じるためである事が明らかになつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-03-01
著者
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