子宮頚癌の局所免疫化学療法時における間質反応の臨床病理学的研究
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概要
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子宮頚癌149症例を対象に,臨床的に末梢血リンパ球数と遅延型皮膚反応を参考として,局所免疫化学療法による影響を手術標本について光顕的,電顕的及び酵素組織化学的に検討し,特に癌間質に見られる細胞性反応並びに繊維性反応よりなる間質反応に注目し検討した結果以下の結論を得た. 1. 局所免疫化学療法は癌の間質反応を対象群に比し有意の差で増強せしめ,癌実質の退縮・変性・壊死等強い退行性病変を惹起せしめる. 2. 局所免疫化学療法により癌間質に著明に増加する浸潤細胞は主にリンパ球と組織球糸細胞で,それらの細胞にはAcid phosphatase並びβ-glucuronidase活性亢進がみられ,さらに血管系ではAlkaline phosphataseとAdenosine triphosphatase活性が亢進する. 3. これらの癌間質反応と所属リンパ節転移並び予後とは有意の関連性が認められる.即ち死亡例では細胞性並びに線維性反応は共に予後良好例に比し極めて弱く,また細胞性反応,線維性反応の弱い症例の転移は顕著である. 4. 遅延型皮膚免疫反応陽性例の癌間質反応は,陰性例に比し有意の差をもつて強く,特にDNCB反応では顕著である. 5. 末梢血リンパ球数2,500/mm^3以上の症例の癌間質反応は,1,500/mm^3以下の症例に比し強い. 以上の結果より,子宮頚癌における人工酸性多糖体,抗癌剤による局所免疫化学療法は癌の間質反応を増強せしめ,癌患者の予後に良好な影響を与える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-03-01
著者
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