遅延排卵の卵および妊孕現象に及ぼす影響に関する基礎的研究
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概要
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遅延排卵の卵及び妊孕現象に及ぼす影響からヒト誘発排卵例を含めた流産の原因と遅延排卵の関係を検討するために,ヒトの現象との比較が可能な動物実験モデル(ラット)を用いて基礎実験を行つた. 実験I:対照群(18匹),pentobarbital sodiumによつてLH surgeをblockすることにより排卵を2日遅延させた群(19匹),estradiol benzoateにより発情間期を延長し排卵を遅延させた群(20匹)のそれぞれについて,妊娠2日目の卵及び妊娠20日目の胎仔を比較検討した. 実験II:下垂体摘除ラットにPMS 100 i.u.及びHCG 100 i.u.を2日(5匹),3日(8匹),4日(13匹),5日(8匹),6日(3匹)の間隔で投与し排卵を誘発,交尾させた後妊娠0日の卵につき形態学的及び染色体学的に比較検討した. 以上の実験の結果,以下のことが明らかとなつた. 1) 卵胞が充分発育しているにもかかわらず内因性のLH surgeが発来せずその結果排卵が遅れた場合(いわゆる遅延排卵)には,発生異常の頻度が増加するが,発情間期の延長による排卵の遅延は発生異常の原因とはならない. 2) ゴナドトロピンによる排卵誘発に於いても,HCG投与のtimingが遅れると,遅延排卵と同様の現象が起り発生異常の頻度が増加する. 3) ラットでは遅延排卵によつて受精不能卵,形態異常卵及び多精子受精卵が増加し,その結果妊娠末期では流産(着床痕)の増加や生仔数の減少が観察される.また奇形の頻度も増加するようである. 4) ヒトに於けるゴナドトロピン誘発排卵妊娠例の高い流産率に,遅延排卵現象の関与している可能性と,治療法改善の方向が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-12-01
著者
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