妊娠分娩時の母児双方における血中及び子宮筋中のEstrogens, Dehydroepiandrosterone量の関する研究
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概要
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妊娠時営まれるestrogens (Es)の生体機序並びにそれの生理学的意義について検討するため,著者は妊娠分娩時の母児双方における非抱合型,抱合型Esとその前駆物質であるdehydroepiandrosterone (DHA)並びにそれの硫酸塩(DHA-S)とをそれぞれ測定して,以下の如き成績を得た. 1. 妊娠末期の母体末梢血濃度を妊娠20〜24週のそれと比較すると,非抱合型はいずれも2倍,抱合型estrone (E_1), estradiol-17β (E_2)で3倍,estriol (R_3)で6倍の増加を認め,DHA-Sにこれを認めることができなかつた.しかし〓帯動脈血のそれでは非抱合型,抱合型ともに2〜3倍の増加を認めたが,以上のいずれにおいても母児間で相関々係を認めることができなかつた. 2. 母体末梢血のDHA (P<0.05), DHA-S (P<0.10)濃度には日内変動があり,Esのそれにはこれを認められなかつた. 3. 母体に対するDHA-S 100mg負荷実験ではE_2,ついでDHA, E_1の増加をみたがE_3のそれは明らかでなく,ACTH負荷ではDHA-S以外のすべてが2〜3倍に増加し,cortisol負荷ではDHA-S以外のすべてが急減した. 4. 分娩開始の3〜5日前の母体末梢血Es濃度は,いずれも一過性に上昇を示したが,陣痛発来の直前,直後のそれでは有意の変動を認めることができなかつた.次に帝切例で児娩出時,自然陣痛発来の有意による各compartmentの濃度をみると,自然陣痛発来例では母体末梢血DHA-Sの漸増,DHAの増加を(P<0.05),〓帯静脈血ではDHA-S, DHAおよび非抱合型E_1,抱合型E_2の増加を,〓帯動脈血ではDHA-S,抱合型E_1,非抱合型E_2の増加をそれぞれ認めた. 一方,子宮筋のそれでは抱合型E_1,抱合型,非抱合型E_2の増加とprogesterone (Δ^4P)の著しい減少,それに伴うΔ^4P/E_2比の減少を認めた.
- 1978-01-01
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