妊娠末期総血中エストリオールとその臨床的意義について

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妊娠末期において尿中estriol (E_3)の測定により,胎児-胎盤系の機能を知ることが出来ることが判明して以来,妊娠末期の尿中estrogen測定が,臨床段階で用いられている.しかし血中E_3の測定は,測定法の繁雑さ及び操作法の差により一定の見解が得られていないのが現状である. 今回我々は,総血中E_3を,酵素による加水分解,^<125>I-labeled-E_3を用いたradioimmunoassay (RIA)により,directに,しかも短時間に測定し,prospectiveな臨床応用の可能性を検討し,次の結果を得た. 1) 総血中E_3の測定所要時間:4〜5時間と速く,臨床応用上問題なしと考える. 2) 酵素による加水分解:estriol-3-sulfatc (E_3-3-S)及びestriol-16-glucosiduronate (E_3-16-G)を用いて検討した.85〜106%の回収率で,20%, HCl, 100℃, 60分の酸加水分開放による53〜98%に比し,良好な結果を得た. 3) 再現性:男子血清中に加えたE_3量と測定値との関係は,y=0.93x+ 3.0, r=1.00であつた. 4) intra and inter assay:それぞれ10replicates及び6回のassayにて検討した結果,coefficient of variationは各々5.0%及び5.2%であつた. 5) 交叉反応:estradiolに1.0%, 16-epi-estriolに10%程認めただけであつた. 6) 妊娠経過と総血中E_3:妊娠経過と共に増加,特に末期に著増を示した.SFD, PDS及び仮死例では,正常に比し低値を示した. 7) 総血中E_3の日内変動:6例について検討したが,有意の変動は認め得なかつた. 8) 尿中estrogenと,総血中E_3との相関:夜間9時間尿中のestrogenと,総血中E_3値とを,53例について比較検討したがr=0.37と相関を認め得なかつた. 以上により,この方法による総血中E_3測定により,より正確に胎児-胎盤機能を知ることが出来るものと考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-01-01

妊娠末期総血中エストリオールとその臨床的意義について

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