ヒト子宮頚部正常および異常上皮培養細胞の核DNA量並びに染色体数の検討

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ヒト子宮頚部正常扁平上皮,異形成上皮,上皮内癌,浸潤癌の初代組織片培養および継代培養を行い,これら培養細胞の質的特性を検討するため,Feulgen染色を施し,顕微分光測光法による核DNA量の測定と染色体数を分析して,以下の知見を得た.1)核DNA量の分布は正常扁平上皮,軽度,中等度,高度異形成上皮,上皮内癌,浸潤癌培養細胞の順にそれぞれ,low2c〜high4c,low2c〜6c,low2c〜7c,low2c〜10c,low2c〜11c,low2c〜13cであり,病変の進行とともに分布幅が拡大した.2)核DNA量がhigh4c以上の細胞の占める割合は,正常扁平上皮,軽度,中等度,高度異形成上皮,上皮内癌,浸潤癌の順にそれぞれ4.0%,9.0%,26.0%,36.4%,42.8%,38.0%であり,上皮内癌までは病変の進行とともにhigh4c以上の細胞が増加した.3)染色体数は正常扁平上皮初代培養細胞で2n=46が93.8%,継代培養細胞では90.6%で,培養系のnormalityは高かった.高度異形成上皮ではdiploidにピークを示し,diploidからpentaploidに分布した.diploidからhypotriploid領域が70.9%であった.上皮内癌ではdiploidからtriploidにピークを示す2峰性で,diploidからheptaploidに分布した.浸潤癌ではdiploidとhypotriploidにピークを示す2峰性で,diploidからheptaploidに幅広く分布するが,上皮内癌に比べdiploidからhypotriploid領域に集中する傾向が認められた.一方,tetraploidを超える細胞は病変の進行とともに増加した.これらの培養細胞の核DNA量と染色体数はin vivoで報告されている成績と類似した.以上より,軽度異形成上皮は正常上皮と類似し,前癌病変とはなり難いと考えられた.また,上皮内癌と浸潤癌は染色体数,核DNA量ともに若干,分布,モードを異にする成績が得られた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-02-01

ヒト子宮頚部正常および異常上皮培養細胞の核DNA量並びに染色体数の検討

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