急性低酸素血症の羊胎仔胎動に及ぼす影響
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概要
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概要 胎動ぱ胎児仮死や子宮内胎児死亡を予知する有力な指標として利用されてきたが、動物を用いて基礎的に胎動の意義を追求した研究ぱ少ない。本研究でぱ胎動の生理的制御の一端を明らかにする目的のため、在胎120日から138日の羊胎児生理的モデルを作製し、生理的条件下・実験的に作製した低酸素血症下および低酸素血症からの回復期に於ける胎動につき比較検討した。胎動観察は、モデル作製手術および麻酔から母児ともに回復したことが確認できた術後3日目より開始した。胎動観察には現在最も信頼がおけると考えられている超音波real-time B scan を用いた。超音波トラソスジューサー固定にあたり、自己作製の固定器を用いて長時間連続観察を可能にした。1時間の対照時間ののち、母羊の吸入酸素濃度を低下させ胎児低酸素血症を作成した。低酸素ガス負荷停止後ぱ、母羊を大気中に於て呼吸させ観察を更に1時間継続した。実験の期間中母児の動脈血を適時採血し、血液ガス測定を施行した。観察時間をおのおの10分間の小区分に分割し、胎児血液ガス値と胎動教の変化を観察したところ、対照時間内に於ける平均胎児P_22値ぱ20。3mmHgで、胎動教は10分間に平均16。9回を示した。他方、低酸素負荷中の胎児Po_2値ぱ平均1L7mmHgと対照時に比べ有意に低下し、これに従つて胎助教ぱ10分間平均5。5回に減少し胎動停止に至る症例もみられた。対照時間内での胎動教が、胎児PO_2-PCo_2-pH のどのパラアーターとも直接の相関を示さなかつたにも拘らず、低酸素負荷中の胎動教ぱ胎児Po_2値と有意な相関を示した(r=0。574、p<0。005、n=45)。母羊を大気中に戻すことにより平均胎児Po_2値ぱ21。0mmHgに回復し、胎動教も対照時に於けるとほぼ同程度観察できた(paired t test、 p=0。707)。低酸素負荷により胎動と呼吸運動ともに停止した4症例に於てぱ、先ず呼吸運動次いで胎動の停止を認め、回復期に入ると胎動の再現に遅れて呼吸運動が再現した。
- 1986-12-01
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