ラット妊娠時循環動態に及ぼす自律神経機能と胎盤形成の影響について : WistarラットとSpontaneously hypertensive ratとの比較

概要

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ヒトで妊娠, 分娩, 産褥期を通じて循環動態を連続的に観察することは困難であるため妊娠ラットを用いて胎盤形成時期, 分娩前後, 授乳時期の血圧心拍数変化をテレメトリー法にて連続測定解析したうえ, これらの調節機構として妊娠時自律神経機能変化を連続心電図波形の記録から解析し, 胎盤形成時期と妊娠時循環動態調節機構の変化についても検討した.正常妊娠モデルとしてWistarラット(WR群, n=8), 慢性高血圧合併妊娠モデルとして自然高血圧発症ラット(n=8), 血管新生阻害剤TNP-470を持続皮下投与した胎盤形成障害モデル(n=4)にそれぞれ血圧心拍数測定用送信器を下行大動脈に埋め込み, テレメトリー法にて, 血圧, 心拍数, 自由活動量を同時に連続測定しCosinor法, Memcalcにてリズム解析を行った.また, 心臓自律神経機能については心電図測定用送信器を母獣背部皮下に埋め込み同様の手技にてRR間隔を連続記録し, FFT法, Memcalcにてスペクトル解析を施行した.その結果, 妊娠Wistarラット, 自然高血圧発症ラット群では胎盤形成期より分娩期まで子宮胎盤血管抵抗の減少に起因すると考えられる血圧低下, 心拍数増加を認め, その変化量は自然高血圧発症ラット群でより顕著となった.また, 分娩前後に母獣の概日リズムは乱れ, 頂点位相変化, 概日リズムの周期区分に占める%パワー値に減少を認めたが, 概日リズムは血圧より心拍数の方が安定しており, 心拍数の概日リズム調節中枢はより強固なものであると考えられた.また, 胎盤形成障害モデルである胎盤形成障害モデル群では出生仔重量, 胎盤重量, 妊娠後期の生理的血圧低下率にそれぞれ減少を認めた.心臓自律神経機能は胎盤形成期までは副交感神経機能を反映するHF成分が増加し, 胎盤形成期から分娩時期まではHF成分の低下と交感神経機能を反映するLF / HFが増加し, 分娩後に再び副交感神経機能が亢進した.また分娩後約3〜4週間の授乳期を経て母獣の循環動態は非妊娠状態に回復した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2000-06-01

ラット妊娠時循環動態に及ぼす自律神経機能と胎盤形成の影響について : WistarラットとSpontaneously hypertensive ratとの比較

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