双胎の胎動および心拍数一過性頻脈に関する検討
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概要
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妊娠28〜41週の双胎妊娠32例に対し, 2台の分娩監視装置を用いノンストレス・テストを施行し, 同一記録紙上に同時描記し心拍数図を検討した。また, この内, 妊娠28〜37週の7例に対して, 2台の胎動計で同様に同一記録紙上に両児の心拍胎動図を描記し胎動の位相関係も検討した。1) 双胎32例 (64胎児) の妊娠週数ごとの心拍数一過性頻脈の発現頻度は, 妊娠32週で1.6±1.1回 (平均±S.D.)/20分であり, 以後次第に増加し妊娠38週で最大となり, 3.4±2.1回/20分で単胎の場合と同傾向であった。2) 心拍数一過性頻脈の一致性に関しては両児の心拍数一過性頻脈が一致するパターンは654箇所 (31.4%), 心拍数一過性頻脈と軽度一過性増加 (振幅8〜14 bpm程度) が一致するパターンは324箇所 (15.5%), 一致しないパターンは1,108箇所 (53.1%) と心拍数図上, 一過性頻脈の不一致がめだつた。なお, 妊娠週数ごとの一致性では妊娠35〜38週頃に一致率が高かった。3) 胎動図上において, 胎動バーストの一致性では妊娠32週で67.4%, 34週で46.7%, 36週で43.4%と妊娠週数が進むにつれ不一致率が高くなり, 中枢神経系の成熟とともに両児それぞれ独立性を獲得するように思われた。妊娠28〜37週まで全体の胎動バーストの一致した箇所は508箇所 (49.5%), 一致しない箇所は519箇所 (50.5%) とほぼ同率であった。4) 卵性による比較では, 比較的長期間に検査が施行された9例について検討したが心拍数一過性頻脈の一致性は, 有意に一卵性双胎の方が高かった。胎動バーストの一致率に関しても卵性による違いがあるように思われた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-12-01
著者
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