妊娠各時期におけるヒト絨毛組織のProgesterone Receptorの研究
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概要
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妊娠初期から末期までのヒト絨毛組織の細胞質 progesterone receptor (PR)について, dextrancoated charcoal法による反応速度論的検討をした. さらにそのPRがクロマチン結合能を有するものであるか否かを ATP-Sepharose column chromatographyにて分析した. また等電点電気泳動法(IEF)によりこのPRの物理化学的特質を分析した. 1. ヒト絨毛組織に妊娠全期間を通じてPRが存在することを明らかにした. 2. PRの解離定数, 最大結合部位数は妊娠時期による一定の変動はみられず, それぞれの平均およびSDは13.4±4.3nM, 478±275fmol/mg蛋白であつた. 3. ATP-Sepharose column chromatographyによる分析では, 妊娠8〜32週の絨毛および胎盤のPRは活性化処理によりATPとの結合が増加し, 活性型PRとなつた. 一方, 妊娠33〜40週の胎盤のPRは活性化処理によつてもATPとの結合は増加せず, 非活性型PRのままであつた. 4. IEFでは, ヒト絨毛組織PRはpI 6.3, 6.0および5.3のピークとして泳動され, 妊娠末期にはpI 5.3のピークの増加がみられた. 5. 絨毛組織内 progesterone量は, 妊娠末期でも減少傾向は示さなかつた. 以上より, ヒト絨毛組織では progesteroneの効果はPRの量的変化で調節されているのではなく, クロマチン結合能のレベルでの質的変化によつて調節されている可能性が明らかにされた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-07-01
著者
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