胎児心収縮期時相からみた胎児循環動態に関する研究 : 胎児発育に伴う胎児心収縮期時相の推移
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
独自に開発したfetal STIs monitoringsystemを用い,胎児心電信号と超音波ドプラ心信号から,正常妊娠・分娩例の胎児心拍数基線における胎児心収縮期時相(fetalsystolictimeintervals,fetalSTIs)をマニュアル計測し,胎児発育に伴う各時相の推移を検討した.1.変容期(EMD),等容性収縮期(ICT),前駆出時間(PEP)は妊娠経過とともに延長し,特に妊娠32週以降その延長率が大であった.2.心室駆出時間(VET)及び心拍数補正駆出時間(VET_<425>)は,妊娠経過とともに短縮した.3.%PEP及び心捕数補正駆出指数(PEP/VET_<425>)は,妊娠経過とともに増加し,特に妊娠32週以降その増加率は大であった.4.PEPは五CTと高い有意の相関関係があり,心臓の負荷状態を最もよく反映するとされるICTの変化を,PEPの変化から判断しうる可能性を確認した。5.妊娠36〜40週において,VETは心拍数と高い相関関係を認めたが,PEPと心拍数との間には有意の相関を認めなかった.6.妊娠36〜40週における各時相の平均値±標準偏差は,EMD=43.O土1.3ms,ICT=29.2±3.0ms,PEP=72.4±3.6ms,%PEP=17.1±1.4%,VET_<425>=177.1±3.9ms,PEP/VET_<425>=-0.407±0.022であった.7.生下時体重と各時相との間には関連がみられなかった.以上の成績から,胎児心循環動態が妊娠32週頃を契機として大きく変化することを認め,各心収縮期時相は胎児発育に伴う心循環系の機能的適応状態をよく反映する指標であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-07-01
著者
関連論文
- Normal-sized ovary carcinoma syndrome, 14例の病理組織学的解折
- P-165 女性における原発性腹膜悪性腫瘍14例の臨床病理学的検討
- P-187 Normal-sized ovary carcinoma syndrome 13例の病理組織学的解析
- 産婦人科領域における免疫抑制物質(Immunosuppressive Substance IS) 測定の意義に関する研究
- Agnathia (無顎症)の1例
- 215. 晩期再発か放射線誘発癌か鑑別に苦慮した子宮頸癌放射線療法後の2例(婦人科5:子宮頸部病変2, 一般演題示説, 第27回日本臨床細胞学会学術集会)
- 胎児心収縮期時相からみた胎児循環動態に関する研究 : 胎児発育に伴う胎児心収縮期時相の推移
- 259. 産婦人科領域における免疫抑制物質(I. S. 物質)測定の意義に関する研究 : 第54群 婦人科免疫I