ヒト胎盤中のandrogen binding componentsに関する研究
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概要
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満期産ヒト胎盤より得られた。ytosol中に存在するandrogen binding componentsを,3^H-dihy-drotestosterone(DHT)を用いて分析し以下の成績を得た.1)Scatchardanalysisでは解離定数(Kd)が1.5×10^<-10>Mと3.7×10^<-9>Mの2つの高親和性結合成分を認めたが,20nM^3H DHTにであらかじめequilibrateされた。ytosolに対し行ったisoelectric focusing(IEF)の成績では,elution pH4.6,5.3,6.Oの3カ所にbindingactiyitiesを認めた.2)Concanavalin A Sepharose affinity gel(Con A)にてCon A bound相とCon Aunbound相に分けられたcytosolについて行ったIEFの成績では,Con Abound相にはpH5.0に単一のbindingactivityが,Con A unbound相にはpH4.6と・pH6.0の2カ所にbinding activitiesを認めた.3)Con Aにて分離された後のcytosolでのScatchard analysisでは,Con Abound相にKd=2.2±0.2×10^<-10>M (270±25fmoles/mg protein),Con-A unbound相にKd=1.9±0.4×10^<-10>M(349±74fmoles/mgprotein),5.9±1.2x10^<-9>M(1,097±273fmoles/mgprotein;mean±S.E.:n=6)の高親和性結合成分として認められた.4)Con A bound相およびCon Aunbomd相でのDHTに対する高親和性結合成分におけるheat stabilityを見た成績では,Con-A bound相の成分は37℃2時間までheat stableであり,Con A unbound相の成分はheat labileであった.5)100倍molar excessの種々のステロイドを使用したcompetitionの成績を見ると,andros tenedione,dehydroepiandrosterone,dehydroepiandrosterone sulfateではCon A unbound相により高親和性であり,d norgestrelではCon A bound相により高親和性を示し,両群に明らかなsteroid specificityの差が認められた.6)IEFでの各々のピークに対し施行したsucrose gradientsの成績では,Con A unbound相の2つの結合成分が何れも4Sであったのに比しCon A bound相の成分はより高いSvalueを呈した.以上の成績よりCon A bound相に見られる成分は血清由来のtestosterone estradiol binding globulin(TeBG)である可能性が高く,これを除いたcytosol中には,等電点およびDHTに対する親和性の異なった,少なくとも2つのandrogen binding componentsが存在することが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-02-01
著者
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