子宮頚部扁平上皮病変におけるGlutathione S-transferaseπの免疫組織学的研究

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腫瘍の多剤耐性機構の一つとして, また, 腫瘍マーカーとしても注目されている, Glutathione S-transferaseπ (GST-π) の, 子宮頚部扁平上皮病変組織内での発現を免疫組織学的に検索した。対象は, 子宮頚部軽度異形成上皮10例, 高度異形成上皮10例, および上皮内癌を含む扁平上皮癌72例である。このほか子宮筋腫手術時に得られた10例の子宮頚部正常扁平上皮も検討した。染色性は, Ib期以上では腫瘍細胞が全く染色されないものを染色度0, 20%未満の染色を染色度1, 20〜60%の染色を染色度2, 60%を超える染色を染色度3と定義した。正常扁平上皮では表層, 中層, 深層の3層に分けて各層の染色性を評価した。異形成上皮, および上皮内癌では, 扁平上皮層を表層部, 中層部, 深層部, それぞれ1/3ずつに分けて染色性を評価した。Ia期では, 浸潤部分と非浸潤部分に分けて染色性を評価した。この結果, 正常扁平上皮では, 10例中6例で中層細胞の一部に陽性細胞を認めた。異形成上皮では, 全例でkoilocytosisを示す細胞が陽性に染色された。上皮内癌10例では, 全例で全層にわたり陽性細胞が認められた。Ia期16例でも, 上皮内癌部分では同様の傾向であり, 浸潤部分でも, 浸潤が微小の6例を除き, 10例で陽性所見を得た。Ib期以上の46例は, 1例が染色度0, 2例が染色度2で, 他の43例は染色度3であった。子宮頚癌のGST-πの染色性は, 我々がすでに報告した卵巣癌や子宮体癌よりも高かった。また, GST-πが子宮頚部扁平上皮病変の多くの症例で発現していることから, 血清中の腫瘍マーカーとしての有用性を検討する意義があると考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1996-07-01

子宮頚部扁平上皮病変におけるGlutathione S-transferaseπの免疫組織学的研究

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