子宮頚癌におけるc-mycの発現とその予後因子としての有用性に関する検討
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概要
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新潟大学医学部産科婦人科学教室において取扱った子宮頚癌I〜IV期48例を対象に, その生検標本あるいは手術摘出標本を用いて免疫染色法によりc-myc遺伝子産物の発現を調べ, 予後因子との関連について検討した。その結果I期9例中4例 (44%), II期32例中9例 (28%), III期5例中3例 (60%), IV期2例中1例 (50%), 症例全体では48例中17例 (35%) にc-mycの過剰発現がみられた。c-myc過剰発現と予後との関連を解析したところ, c-myc過剰発現を認めた17例における5年生存率は51%であり, 過剰発現を認めない31例における5年生存率86%に比べて有意に低かった。また, 対象症例48例中治療により臨床的および組織学的に癌を認めなくなった症例は45例あり, そのうち10例 (22%) に再発を認めたが, これをc-myc過剰発現の有無により比較すると, c-myc過剰発現 (+) 群では15例中7例 (47%) に再発を認め, c-myc過剰発現 (-) 群の30例中3例 (10%) の再発に比べ有意に頻度が高かった。これらの結果より子宮頚癌においてc-myc過剰発現がみられた症例に予後不良例が多く, 予後推測因子としてのc-myc遺伝子産物の発現解析の有用性が示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1996-07-01
著者
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