女性における血清アミロイドP成分の動態に関する研究
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概要
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血清アミロイドP成分 (Serum amyloid P component, SAP) は血管周囲や腎糸球体基底膜などに浸潤沈着し老化やアミロイドーシス発症, アルツハイマー病に関与する9.5S_<α1>-糖蛋白で, 脊椎動物門に広く分布しているが, その機能, ホルモン依存性などまだ充分解明されていない。血中SAPの年齢的変動, 男女差, 月経周期, 性ステロイドによる影響を明らかにすることを目的とした。SAP濃度はヒト血清よりホスホリルコリン-セファロース-アフィニティーカラムやゲル濾過を用いてSAPを精製し家兎を用いて抗血清を作製し, 微量一元放射状免疫拡散法で測定した。血中SAP濃度は, 年齢と共に増加し, 新生児女児の平均値±標準偏差は1.1±0.8mg/dlであり, 80歳代女性のそれは5.08±1.31mg/dlに上昇していた。また, 15〜50歳代においては男性が女性より有意 (p<0.001) に高値を示した。次に, 正常月経周期の女性で血中SAP濃度の変動をみると月経期には4.48±0.94mg/dlで排卵期, 黄体期後期に比し有意 (p<0.05) に高値を示した。一方, 性ステロイド投与による影響については, 更年期症状を愁訴とする閉経後女性にエストロゲン (estrogen, E), デヒドロエピアンドロステロン (dehydroepiandrosterone, DHEA) を投与したところ, 血中SAP濃度は, E投与で減少し (p<0.001), DHEA投与で増加した (p<0.001), 以上より, ヒトでは血中SAP濃度は, 年齢と共に増量し, 男性高値の雄性蛋白であり, 月経周期に伴う変動では月経期に高値を示し, 更年期女性についての血中SAP濃度の変動から, 血中SAP濃度の男女差の発現にはEによるSAP濃度下降作用が関与していることが示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1996-07-01
著者
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