子宮頚癌放射線治療効果評価におけるMagnetic Resonance Imaging (MRI)の意義
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概要
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子宮頚癌放射線治療症例における治療効果評価の客観性向上を目的としてMagnetic Resonance Imaging(MRI)所見の解析を行った. 対象は当科にて初回治療として放射線治療を行い治療前後にMRIでの評価を行った27例とした. MRI所見の評価は子宮頚部のhigh intensity area (HIA)と5項目の子宮外進展所見(膣浸潤, 子宮傍組織浸潤, 膀胱浸潤, 直腸浸潤, リンパ節腫大)について行い, 子宮頚部の組織診所見および治療開始後3年間の臨床経過との関係を検討した. T_2強調画像における子宮頚部HIAの所見陽性率は治療前96%, 治療終了時63%であり, 17例の治療終了時HIA遺残例中follow-up MRIを施行し得た10例では3〜8カ月の経過でHIAは消失した. この10例中照射終了時の組織診でviableな癌細胞遺残と評価されたのは3例で, 3例ともHIAの消失に先行して癌細胞は陰性化した. 以上の経過と組織診所見の対比により治療後早期のHIAの遺残は多くは壊死および肉芽組織など組織の放射線による変化を反映したものであることが判明した. 治療後の子宮頚部HIAの有無と癌細胞検出の有無の一致率は, 治療後6カ月以内の49%に対し7カ月以後では93%であり, 治療後7カ月以後に認められたHIAは再発巣である可能性の高いことが明らかとなった. 子宮外進展所見については各項目ごとに進行程度に応じたスコアを設定して検討したところ, 非再発例では治療後早期に12例全例スコア3点以下となり, 直腸膣瘻を生じた1例を除き経過観察中点数の増加は認められなかった. これに対し再発・再燃例では治療後3点以上であったものが10例中4例あり, うち3例は治療後1年以内に癌死した. また1年以後に局所再発した症例では一度消失した子宮外進展所見が再発時再び出現増悪した. 以上より, MRIは一定の限界はあるものの, 経時的に所見の対比を行うことにより頚癌の放射線治療効果評価ならびに治療後の管理に有用であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1996-01-01
著者
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