先天性横隔膜ヘルニアに対し出生前診断がもたらす医療経済的影響の検討

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【目的】先天性横隔膜ヘルニア(以下本症)の出生前診断の普及に当たって, 出生前診断が医療経済面で, どのような影響を及ぼすかを, 検討しておく必要がある.【方法】1988年より1997年までの10年間に経験した, 本症新生児例102例を対象に, 治療適応の有無, 発症時間, 出生前診断の有無・呼吸管理法, 及び予後につき9群に分類し, 重症度別症例構成を求めた.次に, 1994年以降1997年までの39例を対象に, 重症度・管理法別に, 初回入院医療費を算出した.先に得られた重症度別症例構成から1症例ごとの平均医療費を求めるとともに, 日本小児外科学会の全国アンケート調査結果より, 1993年と98年の本症初回入院総医療費を推定した.また, 出生前診断による医療内容の軽減を検討する目的で, 出生前診断・HFO生存例と24時間未満発症・ECMO生存例の重症度の比較を行った.【結果】重症度別症例構成及び重症度別医療費から得られた本症の1症例ごとの平均医療費は586万円/症例で, ECMOの施行が医療費を左右する最も大きな要因であった.出生前診断HFO生存例と24時間未満発症ECMO生存例の重症度には, 明かな差は認めず, 重症例が出生前診断され, ECMOが回避されると仮定すると, 1症例ごとの平均医療費は553万円/症例に減少する.日本小児外科学会の全国アンケート調査結果では, 本症の出生前診断率は, 1993年の31%から, 98年には40.3%に向上しており, 初回入院総医療費も, それぞれ, 6億9千万円から7億7千万円への増加が推定されたが, 1症例ごとの平均医療費の増加は僅かであった.【結論】本症出生前診断率の向上は, 必ずしも, 医療費の増加をもたらすものではなく, 医療経済面からも, 出生前診断率の向上に努めるべきと思われた.
日本小児外科学会の論文
2001-02-20

先天性横隔膜ヘルニアに対し出生前診断がもたらす医療経済的影響の検討

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