Prostaglandin Receptorに関する研究
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概要
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prostaglandin (PG)の子宮収縮機構解明へのアプローチとして,子宮筋内のPG receptorの存在,およびreceptorレベルでのprogesterone (P)との相互関係について検討し,以下の結果をえた. 1) ^3H-PGF_<2^α>を,成熟雌性ラットの腹腔内に投与し,in vivoでの,各臓器への放射能活性の取り込みの経時的変化を追求し,子宮,小腸,肺には,血清,肝,腎に比し,長時間,放射能活性が保持されていることを見い出した. 2) 家兎子宮筋スライスへの^3H-PGE_1の取り込み実験にて,非放射性PGE_1による取り込み阻害がみられること,この取り込み阻害は,核分画およびmicrosome分画にて,著明であることを明らかにした. 3) 家兎子宮筋を,各細胞分画(核,mitochondria microsome,cytosol)に分画し,各分画でのPG receptorの存在について検討し,核およびmicrosome分画にPG receptorの存在を示唆する成績をえた.更に,純化した細胞膜,小胞体分画にて検討をすすめ,細胞膜にassociation constant (Ka)=1.06×10^<13> M^<-1>,小胞体にKa=2.04×10^<12> M^<-1>のきわめてaffinityの高いPG receptorの存在を証明した. 4) PGとPG receptorとの結合に及ぼすPの影響を,細胞膜のPG receptorにて検討したが,PとPGとのPG receptor上のcompetitive bindingは,認められなかつた. 5) 家兎子宮cytosol中のP receptorとPとの結合能に及ぼすPGの効果を,蔗糖密度勾配遠心法にて検討し,P receptor上でのPとPGF_<2^α>とのcompetitive bindingは,ほとんどないとの結果を得た. 以上の実験成績は,従来,その存在が推定されていた子宮筋内PG receptorの局在を,明らかにしたとともに,PGの子宮収縮作用は,PG receptorを介するという仮説に,ひとつの証左を与えたものと考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-06-01
著者
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