Radioimmunoassayによる妊娠,分娩時の血中Oxytocin動態とその意義について
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概要
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血中に微量に存在するOxytocin濃度の測定は,従来困難とされておりその動態や生理作用については,依然不明な点が少なくない.そこで著者はまず特異性と力価の高いOxytocinの抗体を作製し,これによるradioimmunoassay系を確立し,この方法によつて妊娠,分娩時の母児双方における末梢血oxytocin濃度を測定し次の結果を得た. 1. 成熟した雄兎にoxytocin-bovine serum albumin抗原を接種して得た抗血清の力価は,最終稀釈64,000倍で標識oxytocinとの結合率は34%であつた.なおK Valueは,約7.5×10^<-11>M/Lであつた. 2. 抗血清の交叉反応率は,lysine vasopressin arginine vasopression共に0.01%以下であつた. 3.この抗血清を用いるradiommunoassayの感度は5μIUであり,測定に際しては被検血漿の濃縮,抽出を必要としなかつた. 4. 既知量のoxytocinを血漿に加えて測定した場合,その回収率は平均約93%であつた. 5. 妊娠初期における血中oxytocin濃度は,6.1±2.5μIU/ml(以下ml省略),中期で12.5±6.0μIU末期で27.0±7.5μIUであつた. 6. 分娩第2期における母体血oxytocin濃度は34.1±4.9μIU,分娩直後の〓帯動脈血は31.5±5.3μIU〓帯静脈血は30.0±4.2μIUであつた. 7. 陣痛未発来の帝切例での母体血oxytocin濃度は27.1±6.6μIU,〓帯動脈血は25.1±5.4μIU,〓帯静脈血は25.4±5.4μIUであつた. 8. 陣痛発来後の帝切例での母体血oxytocin濃度は37.1±7.1μIU,〓帯動脈血は31.4±6.7μIU,〓帯静脈血は27.0±7.8μIUであつた. 9. Oxytocinの注入を行つた症例における末梢血oxytocin濃度の半減期は,5-10分であつた. 10. Prostaglandin F_<2^α>を経静脈的に負荷した場合の末梢血oxytocin濃度は,陣痛発来例で増加を認めた.
- 1976-04-01
著者
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