血中Estrogen動態と分娩発来との関連について
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概要
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妊婦血中Estrogen(以下Eと略)の変動を主に分娩発来機序の面から検討すべくRadiommunoassay (RIA)により妊娠第37週以降の妊婦について,可及的連続的に血中Estradiol(以下E_2と略)ならびにEstriol(以下E_3と略)の測定を行ない興味ある知見を得たので報告する. 1) 妊娠週数別の推移では初・経産婦とも血中E値は妊娠経過とともに上昇し,第39週以降はE_2ならびにE_3の何れも高い血中レベルを維持しており,初産婦ではそれ以降の下降傾向は認めないが,経産婦では軽度の下降を示した. 2) 分娩時を基点として配列しなおした血中E_2およびE_3値の変動パターンをみると,E_2,E_3ともに分娩開始の約2週間前にピークを形成し,以後一定の範囲内で変動しながら分娩に至る群(I型)と,ピークを作ることなく上昇途上で分娩に至る群(II型)との2型に大別された. 3) 初産婦の約2/3はI型を示し,残りの1/3がII型であつたが,経産婦は大部分がI型を示した. 4) II型を示した初産婦の症例は何れも予定日前に分娩が発来し,また血中濃度がE_2では25ng/ml,E_3では10ng/ml以上に達してから分娩発来までの日数明らかに短縮されていた.さらに分娩所要時間も短い傾向が認められた. 5) 初・経産婦をとわず血中E_2,E_3値はともに陣痛開始時にはその直前の値より上昇傾向を示した. 以上の結果から分娩発来にはその前に血中Eレベルが一定値に達することが必要条件であり,その後の分娩発来までの所要時間は各症例における他の分娩準備態勢の整備の如何に左右されるであろうことが推定され,その意味ではII型を示す初産婦群はいわば理想型分娩に近いものと考えられる.
- 1976-02-01
著者
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