子宮頚部上皮異常及び上皮内癌におけるコルポマイクロスコピーの診断的意義について
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概要
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現在一般的に行われている細胞診,colposcopy,狙いbiopsyに加えて新しく開発したcolpomicroscopeを用いて子宮癌早期診断を行い次の成績を得た. 1) 扁平上皮化生の状態に対応して転位帯,変換帯をそれぞれ3段階に分類しその各々の段階の血管像をcolpomicroscopeで観察すると,殆どが樹枝状でその分岐も素直であった. 2) 分野をA,B,C,Dの4種に分類し組織学的所見と対応せしめると,B-typeスポット(-)は高度異型上皮に多く,D-typeは上皮内癌に多くみられた. 3) 良性,悪性,炎症等の区別の難しい基底の血管像をcolpomicroscopeを用いて観察し,コンマ状血管,ラセン状血管,ヘアピン状血管,断裂血管,糸球体型血管の5種に分類し,トリコモナス腟炎,高度異型上皮,上皮内癌においてこれらの血管像の出現率を検討したが,特異的な特徴は認められなかった. 4) 良性,悪性を血管型のみで分類することは困難であり,血管配列の乱れ,蛇行の度合,血管の幅の変動,大型化等の血管の異型の有無により分類すると,3者の判定に役立つ. 5) Colpomicroscopyにおいて血管像の分析に加えて,上皮の染色を行い,細胞所見を考慮することにより,さらに正確に病態の把握が可能となる. 子宮癌検診において異型上皮のfollow upが重要な課題となってきているが,細胞診,colposcopy,狙いbiopsyに加えてcolpomicroscopyを導入すればより正確にかつ安全なfollow upが可能となると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-07-01