純粋型並びに混合型妊娠中毒症における腎糸球体変化の超微形態的比較観察
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概要
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妊娠中毒症時に, 腎糸球体に変化が出現することはよく知られているが, 純粋型のそれと混合型のそれとの比較観察の報告はきわめて少ない. そこでこの両者について主として透過型電子顕微鏡(電顕)による観察を行い, その病態の差を明らかにした. 対象は純粋型妊娠中毒症19例と混合型妊娠中毒症6例で, いずれも合意のもとに帝王切開時に右腎より針生検を施行し光学顕微鏡(光顕)及び電顕的観察を行った. 電顕的観察では, 内皮細胞, 上皮細胞, メサンギウム, 基底膜別に所見の程度によリ0〜3点までの得点を与えて比較を行った. 光顕的には純粋型妊娠中毒症の腎糸球体の変化は管外型, 管内型, 係蹄壁型に大別されたが, これらの変化の混合するものが多くみられた. 混合型妊娠中毒症のそれではボウマン嚢との癒着や硬化像が注目された. 電顕的には内皮細胞, 上皮細胞の変化に比べ, メサンギウム, 基底膜の変化が純粋型に比較して混合型により強く認められた. すなわち, 純粋型では糸球体のいずれの部にも変化は出現するが, 陳旧性の変化とされているメサンギウムや基底膜の変化は軽度であり, 混合型では基礎的疾患の存在により陳旧性変化が出現していることが確認された. よって, 純粋型妊娠中毒症と混合型妊娠中毒症の病態は類似するが, 後者の腎にはすでに不可逆性の変化が生じており, 両者の本態は異なるものであると認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-12-01
著者
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