子宮腺筋症類似の組織学的変化を自然発生するマウス子宮の組織学的検討 : 新しい子宮腺筋症のモデル動物
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概要
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子宮腺筋症は子宮筋層や泉膜下への内膜組織, 腺組織およびその間質浸潤・異所性増殖を起こす良性疾患であるが, その病因・発生機序についてはいまだ不明な点が多い.今回, 子宮腺筋症類似の組織形態変化を起こすマウスを見出し, その組織学的特徴を, 細胞外基質マトリックスの一つであるテネイシンを中心に解析し, 以下の成績を得た. 1. RI (リコンビナントインブレッド)系であるSMXAマウスが子宮腺筋症類似の組織形態変化を自然発生することを見出した. 2. SMXAマウス各系に比べて, SMXA系とNJL系(野生マウス由来)とのF1雑種マウスの子宮では, 組織形態変化がさらに増強されたことから, 子宮腺筋症の発症には遺伝的要素の関与が推測された. 3. 正常子宮におけるテネイシンは性周期に伴って, その局在が変化する. 一方, この子宮腺筋症類似の組織変化におけるテネイシンは異形成を起こした子宮腺やその嚢胞化部位に強い発現が認められ, また子宮筋層にも強いテネイシンの発現が観察された. これらの所見はテネイシンが子宮腺筋症の組織変化における重要な指標となりうることを示唆している. 4. RIマウスであるSMXAマウスはヒト子宮腺筋症の発生機序を解析するための有用な動物モデルであることが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-04-01
著者
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