超音波画像における早期胎嚢像の検出時期と検出部位の臨床的意義
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概要
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超音波経腟走査法で検出できた内径が2≦〜≦4mmの極早期のGS像 (以下EGSと略す) の症例について, その検出時期と検出部位を観察した。これらの症例を排卵日が推定された症例群 (以下排卵推定群と略す) と排卵日は不明だが月経周期が正常とされる症例群 (以下正常月経周期群と略す) とに分け両群の妊娠予後をレトロスペクティブに比較分析し, その臨床的意義について検討した。1. EGSの検出時期は, 排卵推定群では排卵後17〜25日 (妊娠4週2日〜5週3日) であった。正常月経周期群では妊娠4週2日〜7週5日の期間で検出された。正常月経周期群のうち, 妊娠6週以降で検出された症例の頻度は17.6%であった。2. EGSの検出部位は, 95.3%が体部内膜の上位2/3で, 下位で検出された症例は4.6%と有意に少なかった (p<0.05)。また, EGSが妊娠6週2日以降か子宮下部で検出された症例には初期流産が多かった (p<0.05)。3. 妊娠が継続した症例では排卵推定群, 正常月経周期群および正常月経周期群のうち妊娠6週以降に検出された症例群について胎芽・胎児発育動態を比較検討したが3群に差を認めなかった。しかし, 妊娠持続日数は妊娠6週以降の検出群が排卵推定群に比して平均13日の延長を認めた。以上の成績から, 胎嚢の大きさには妊娠極早期から個体差がある。月経周期が正常とされる症例には排卵がかなり遅延して妊娠する症例があり, そのような症例には初期流産が多いが, 妊娠が継続した症例は以後の胎児発育動態に異常を認めないと考えられた。妊卵の着床部位は底部に近い体部内膜が最も多く, 流産となる頻度も低い。下部に着床する症例は頻度は低く流産や前置胎盤が多い。したがって, 妊卵の至適着床部位は底部内膜で, 子宮下部内膜は着床部位としては不適当であることが統計的にも臨床的にも明らかになった。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-02-01
著者
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