経腸栄養における乳化脂肪の効用に関する基礎的研究 : 閉塞性黄疸ラットモデルでの検討
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概要
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経腸的に投与された脂肪の乳化の有無およびその状態が,胆道閉鎖症などの胆汁分泌障害時の消化吸収に与える影響を見る目的で,生後8週齢の閉塞性黄疸肝障害ラット (黄疸ラット;J 群) および sham 手術ラット (非黄疸ラット:S 群) に対して,脂肪成分として約50% のリノール酸を含む局方大豆油群 (JB 群,SB 群,各 n=10) と乳化大豆油群 (JE 群,SE 群,各 n=10) とを用いた経管栄養を28日間行った. その後これら対象を犠死せしめ,その血漿総脂質脂肪酸分画について検討した. なお,この間の総投与熱量は60kcal/日 (250kcal/kg/日),脂肪投与量は総投与熱量の13% であった. 胆汁分泌障害のない SB 群,SE 群では脂肪の乳化の有無による血漿総脂質脂肪酸分画の差は認められず,両群ともに脂肪は十分に消化吸収されていた. 一方,胆汁が欠如ないし欠乏した黄疸ラット (J 群) では,局方大豆油で飼育した JB 群ではリノール酸,アラキドン酸の低値,更に Δ-5,8,11-eicosatrienoic acid (C20 : 3n9) の出現が見られ,潜在的必須脂肪酸欠乏状態に進行することが明らかとなった. しかし,微細かつ安定した乳化大豆油 (平均脂肪粒子径0.1〜0.3μm) を脂肪成分とした JE 群では,JB 群に比べパルミトオレイン酸,オレイン酸の低下,リノール酸,アラキドン酸の上昇がみられ,正常対照ラット (NC 群,n=10) に近似した血漿総脂質脂肪酸分画像を呈した. 以上より,胆汁酸分泌障害を有する生体に対する経腸栄養時の脂質成分は,その消化吸収効率を良くするため十分に微細かつ安定した乳化状態にすることが有用であると確認された.
- 1996-02-20
著者
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