妊娠分娩に伴うラット子宮筋エストロゲンレセプター量の変化
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概要
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エストロゲンは子宮の頚管熟化, プロスタグランディン(PGs)産生又はオキシトシン感受性亢進など子宮筋収縮に大きく関与している. 本研究ではエストロゲンの作用機序における重要な因子であるエストロゲンレセプター(ER)につき, 妊娠に伴う子宮筋ER量の変化とそれに影響する因子を検討した. SD系ラットのDiestrus 1日目, 妊娠9, 12, 15, 21日目および分娩中に子宮を採取し, 胎盤付着部とその対側部に分け, 細胞核中のER量をER-EIAキット(ダイナボット社製)を用いて測定した. 胎盤対側部のER量は非妊時から妊娠, 分娩期間を通じてほとんど変化しなかったが, 21日目には他の時期より有意の(p<0.05)低値を示した. 一方, 胎盤付着部では9日目に有意に増加した後減少し, 21日目には非妊時の値より有意に(p<0.01)低値であった. この胎盤付着部の21日目のER量低下は, 12日目に胎仔を除去し胎盤のみとした群では認められず, 21日目のER量は正常妊娠群の値より有意に(p<0.05)高値であった. 分娩中では, 胎盤対側部のER量は有意に増加したが胎盤付着部ではER量の増加は明らかでなく, 特にこの傾向はいまだ分娩に至らない子宮の中部や上部で顕著であった. 以上, 妊娠・分娩中の子宮筋ER量は特に胎盤付着部において低く, 同部における子宮筋収縮の低下および胎盤血流の維持に有利に変動しているものと推測された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-12-01
著者
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