子宮頚癌進行度評価におけるMagnetic Resonance Imaging(MRI)の意義
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概要
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子宮頚癌進行度評価におけるMRIの意義を明らかにするため, 当科にて初回治療として子宮摘出術を行った62例を対象として, MRI所見と手術病理所見を詳細に比較検討した. 対象の術後進行期は0期2例, Ia期18例, Ib期19例, IIa期9例, IIb期11例, IIIa期2例, IIIb期1例であった. MRI装置はMRT-50Aを用い, spin echo法にて, T_1強調画像, proton density画像, T_2強調画像の矢状断像, ならびに横断像を撮像し, (1)子宮頚部病果描出の有無と残存正常頚部筋層の最小値, (2)壊死性空洞, (3)子宮留膿症, (4)子宮頚部辺縁不整, (5)子宮傍組織浸潤, (6)腔浸潤, (7)膀胱浸潤, (8)リンパ節腫大の8項目について評価を行った. T_2画像における評価で, Ia期以下の20例に病巣の描出されたものはなく, Ib期8例, IIa期2例の非描出例中最大の病巣は標本上深さ6mm, 最大幅15mmであった. 一方描出された32例の病巣の最大径はすべて横断径10mm以上であった. 円錐切除を行わず, 子宮摘出を行った39例における残存頚部筋層の厚さのMRIによる評価と病理組織標本上の実測値はr=0.929(p<0.001)と高い正の相関を示した. 子宮頚部辺縁不整を癌が頚部筋層を穿破している所見とすると, その正診率は87%であった. 子宮傍組織浸潤を0期を除く60例, 120側についてみると正診率は92%であった. 癌の腔浸潤の正診率は90%であったが, false negativeとなった5例では癌は腔上皮に留まるか浸潤の深さが1mm以内であった. 癌の膀胱方向への浸潤の評価の正診率は94%であった. MRIで描出されたリンパ節のうち, 最も大きなものの最大径を該当症例の代表値として検討すると, 15mmを越えるものを所見陽性とした場合に83%と最も高い正診率が得られた. 以上の検討により, MRIは頚癌進行度評価において, 一定の限界はあるものの, 高い精度を有することが判明し, 臨床上有用であることが証明された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-10-01
著者
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