二つの診断基準(絶対値並びに相対値)による妊娠中毒症高血圧軽症における児発育
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概要
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日本産科婦人科学会の妊娠中毒症における高血圧軽症に関する診断基準は, (1) 収縮期圧140 mmHg以上160 mmHg未満, (2) 拡張期圧90 mmHg以上110 mmHg未満, (3) 妊娠により収縮期圧30 mmHg以上の上昇, (4) 妊娠により拡張期圧15 mmHg以上の上昇と定義され, (1) あるいは (2) の絶対値による基準により診断される"絶対的高血圧 (A-PIH)"と, (3) あるいは (4) の相対的上昇による基準により診断される"相対的高血圧 (R-PIH)"に二分される。われわれはこの二つのPIHの臨床的背景や血圧の推移からそれぞれの病態の違いを明らかにしてきたが, 本研究では二つのPIHのそれぞれの児発育に及ぼす影響を検討した。妊娠15週以前より経過が明らかで妊娠32週以降単胎児を出産した初産婦963名, 経産婦747名を対象とした。初産婦では"正常血圧"群 (N群) 79.4%, A-PIH群7.1%, R-PIH群13.0%で, 経産婦ではN群84.6%, A-PIH群4.6%, R-PIH群10.3%であった。初経産婦ともに3群間での在胎日数に差異は認められなかったが, 児体重・胸囲・腹囲はいずれにおいてもA-PIH群はR-PIH群, N群より小さく, A-PIH群における児発育障害が認められた。しかしR-PIH群とN群間には有意差は認められずR-PIH群での児発育は障害されていなかった。次にSFD (Small for Date) 児の発症率を検討したが, 初産婦ではA-PIH群17.4%がN群, R-PIH群 (ともに3.9%) より高頻度に認められた。しかし経産婦では3群間に有意差は認められなかった。児発育のAsymmetryを検討するため頭囲/胸囲, 頭囲/腹囲及び体重/身長比を検討したが, 経産婦でのこれらの比はA-PIH群がN群, R-PIH群と較べ高値を示すも, N群とR-PIH群とでは差異は認められなかった。以上PIHにおける児発育の検討からもA-PIH群とR-PIH群は違った病態であることが明らかとなった。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-03-01
著者
-
中本 収
大阪市立総合医療センター
-
友田 昭二
大日本製薬医薬開発部
-
友田 昭二
大阪・大日本製薬 (株) 医薬開発本部
-
日高 敦夫
日本妊娠中毒症学会
-
友田 昭二
大阪市立大学産科婦人科学教室
-
北中 孝司
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
日高 敦夫
大阪市立母子センター
-
友田 昭二
皇學館大学 社会福祉学部生命科学
-
須川 佶
大阪市立大学
-
中本 収
大阪市立母子センター産婦人科
-
須川 佶
阪和泉北病院産婦人科
-
須川 佶
阪和泉北病院
-
友田 昭二
大阪市立大学医学部付属病院中央臨床検査部産婦人科
-
北中 孝司
奈良県立医科大学 産婦人科学教室
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