卵巣表層上皮性腫瘍におけるレクチン結合に関する組織化学的研究
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概要
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卵巣腫瘍のホルマリン固定, パラフィン包埋による組織切片を用いて, avidin-biotin-peroxidase complexによる酵素抗体染色を施し, 7種のレクチン(PNA, UEA-1, WGA, ConA, RCA-1, SBAおよびDBA)結合について検討した. その結果, 表層上皮封入嚢胞では, RCA-1結合のみがapical membrane stainingとして認められた. 良性腫瘍のうち, 漿液性嚢胞腺腫では, すべてのレクチンが存在し, apical membraneあるいはplasma membraneに陽性であった. 粘液性嚢胞腺腫では, PNA, UEA-1, WGAおよびRCA-1結合が証明され, apical membraneあるいはapical membrane and cytosolに陽性であった. 原発性腺癌に関しては, 漿液性腺癌および明細胞腺癌におけるPNA結合陽性例の頻度はそれぞれ71.4%および100%であり, plasma membraneあるいはplasma membrane and cytosolに局在していた. また類内膜腺癌および粘液性腺癌におけるUEA-1結合陽性例はそれぞれ80%および60%であり, apical membraneあるいはapical membrane and cytosolに証明された. 腺癌の分化度からみると, SBA結合陽性例は高分化型85.7%, 中分化型66.7%および低分化型0%であり, またDBA結合陽性例はそれぞれ71.4%, 41.7%および0%であった. RCA-1結合は表層上皮封入嚢胞および漿液性嚢胞腺腫でapical membraneに陽性であったが, 漿液性腺癌では呈色されなかった. 以上の成績より, 表層上皮性腫瘍においては, 癌化過程に伴って糖鎖構造が変化する可能性が認められた. さらにPNAおよびUEA-1結合は腫瘍の組織型に関連し, またSBAおよびDBA結合は組織学的分化度に関連するように思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-03-01
著者
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