長期培養後の精子運動能評価としてのsperm survival testに関する研究
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概要
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Swim-up 精子を長期培養し運動能低下の始まるまでの時間差により精子妊孕能を判定する臨床検査法 sperm survival test (SST) を開発した. その臨床的有用性について検討し, 次の結果を得た. 1. swim-up 法により運動精子のみを回収し, 培養開始直後, 6, 12, 24, 36および48時間後の精子運動能を評価した. その結果, ヒト swim-up 精子の運動能には明らかな差が認められた. 2. 培地中の精子濃度が10^5〜10^7/mlの範囲では SST の結果に変化はみられなかった. 3. SST は一般的精液検査所見では把握できない精子機能を反映していた. 4. 妊孕能が確認されている volunteer 男性8例においては, 全例が SST 36時間陽性を示した. 不妊夫婦 (61組) における検討では正常 (21例) および異常精液検査所見 (40例) においてともに, 少なくとも SST 36時間以上陽性の場合に妊娠成立が有意に高率であった (p < 0.01). そこで, 精子妊孕能予知の基準として, SST 36時間陽性例は妊孕能良好, 36時間陰性例は不良と定めた. 5. 体外受精における受精率は, SST が6, 12, 24, 36および48時間陽性の時, それぞれ0%, 15.4%, 68.1%, 85.4%および92.9%であった. すなわち, SSTの陽性時間が長いほど受精率も高かった. なお高度異常精液所見例についてみると, 精子数1,000万/ml未満では受精率17.6%であったが, SST では6時間および12時間陽性例でそれぞれ0%および25%であった. また運動率30%未満の例では受精率28.9%であったが, SS では6時間,12時間および24時間陽性例においてそれぞれ0%, 18.2%および69.2%であった. 以上のことより, SST の結果は一般的精液検査所見よりも的確に受精率を反映していた. 精子妊孕能と SST の結果が一致することより, その背景に精子代謝能の差があることが推測される.
- 1990-12-01
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