思春期女子特殊集団におけるChlamydia trachomatis感染に関する疫学的研究
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概要
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ある矯正施設に収容された女子集団 (15〜20歳:平均17.4歳) 141例における性行動とC. trachomatis (以下CT) 感染の関係を疫学的に分析し以下の成績を得た. 1. 初経年齢は, 原発性無月経の1例を除き9〜15歳に分布し, 平均12.1歳であった. 2. 全員に性交経歴があり, 初交年齢は11〜18歳, 平均13.9歳と低年齢であった. 3. 16例 (11.3%) の子宮頚管材料からCTが分離培養され, Micro Trak法により9例 (6.4%) からCT抗原が検出された. いずれかの方法によるCT抗原陽性者は19例 (13.5%) であった. 4. CT抗原は子宮頚管炎と診断された55例中14例 (25.5%) に陽性であり, 炎症の認められなかった86例からの陽性率5.8%に比べ有意に高率であった (p < 0.001). 5. CT抗原検出と腔トリコモナス症の間に相関が認められた (p < 0.05). 6. CT抗原は低年齢層 (15〜17歳) で21.1%と高率に認められ, 年長グループ (18〜20歳) での陽性率はわずか4.6%であった (p < 0.01). 7. 57名に妊娠歴 (1〜3回) があったが, CT抗原陽性率は妊娠経験のないグループのほうが高率であった(p < 0.05). 8. 血中の抗CTlgG抗体は65例 (46.1%) に証明された.抗CT抗体陽性グループにCT抗原が高率に見出され, かつ抗原と抗体の血清型(immunotype)が一致する例が多かった. このことから血中抗CT抗体は現症のCT感染の結果生じたものであるが, 頚管部へのCT感染に対し, 強い阻止効果を表さないことが示唆された. 9. CTに起因する子宮頚管炎を治療せずに放置した場合, 若年女子では平均56日で自然消失するグループと100日以上に亘って持続感染するグループに分かれることが窺われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-12-01
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