肩平上皮化生,異形成上皮,ならびに上皮内癌におけるヒトパピローマウイルスDNAの検出
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子宮頚部癌関連病変におけるヒトパピローマウイルス (HPV) 6, 16, 18, 31, 33型 DNA の存否を in situ hybridization 法を用いて検索した. 1) HPV DNA の検出率は扁平上皮化生では11% (4/36), 軽度異形成上皮43% (6/14), 中等度異形成上皮39% (7/18), 高度異形成上皮50% (7/14), 上皮内癌50% (7/14) であった. 扁平上皮化生でのHPV DNA の検出率は, 異形成上皮と上皮内癌を合わせた検出率45% (27/60) に比較して低率であった. HPV のタイプ別では HPV16型 DNA の検出率が軽度異形成上皮から上皮内癌へと進展するにつれ上昇していた. 2) HPV DNA の組織内分布は, 軽度異形成上皮においては, 表層細胞の koilocyte の核に, 中等度異形成上皮では中層細胞層の異型細胞の核と表層細胞の koilocyte の核に認められた. 高度異形成上皮, 上皮内癌においては上皮全層の核にほぼ均等に HPV DNA が存在していた. とくに, 上皮内癌においては, 基底細胞層と傍基底細胞層にも HPV DNA を認めたことから, 発癌過程で HPV が何らかの役割を果していることが推察された. 3) 扁平上皮化生はその存在部位により, 3群に分けて HPV DNA の存否を比較した. HPV DNA の検出率は第一群の扁平円柱境界領域の扁平上皮化生では0% (0/12), 第2群のポリープに存在する扁平上皮化生では25% (3/12) であった. 第3群の異形成上皮, 上皮内癌に伴う扁平上皮化生では8% (1/12) であったが, この1例はポリープに存在し, 本来ならぱ第2群にも含まれるものであった. HPV DNA 陽性のポリープでは, 扁平上皮化生巣と, それに続く粘膜下の間質細胞の核にも, HPV DNA が均等に存在していた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-10-01
著者
-
島野 敏司
小樽協会病院
-
福島 道夫
福住産科婦人科クリニック
-
福島 道夫
札幌医科大学医学部産科婦人科学教室
-
沢田 幸治
札幌医科大学 産婦人科
-
澤田 幸治
札幌医科大学附属癌研究所
-
澤田 幸治
札幌医大・がん研
-
島野 敏司
札幌医科大学産婦人科講座
-
福島 道夫
札幌医科大学 産婦人科
関連論文
- 逆転写酵素を利用したPolymerase Chain Reaction法 (RT-PCR法) による子宮頚癌及びその前癌病変におけるヒトパピローマウイルス16型E6/E7 mRNAの解析
- 尿路***腫瘍におけるHuman Papillomavirus(HPV)の検討
- 子宮頚部コンジローマおよび異型上皮におけるHPV感染の診断について : DNA hybridization,酵素抗体法,koilocytosis,電子顕微鏡の信頼性に関する研究
- シIII-C. Human Papilloma Virus lnfectionとKoilocytosis(Human Papilloma Virus Infection と Koilocytosis, シンポジウム(III), 第27回日本臨床細胞学会学術集会)
- 2つのRSドメインをもつ新規RNA結合蛋白質のクローニングと解析
- 子宮原発悪性リンパ腫の1例
- 3.卵巣癌の細胞診と組織像(追加発言, シンポジウム(I-a), 第20回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 7.各種臓器における腺癌細胞の特徴 : 卵巣(シンポジウム(2) : 各種臓器の腺癌細胞の特徴, 第19回日本臨床細胞学会秋期大会記事)
- 8 逆転写酵素を用いたPCR法による子宮頸癌およびCINにおけるヒトパピローマウィルス16型mRNAの発現の解析
- 血清CA19-9が高値を呈したmetaplastic Brenner tumorの1例
- 討論
- 12 Buschke-Lowenstein腫瘍と思われる1例とヒトパピローマウイルス(HPV)
- 56 遺伝子増幅法(PCR法)を用いた子宮頸部病変中のヒトパピローマウイルスDNAの特異的高感度検出
- 98.In situ hybrydization法の感度について(基礎 : (I), 示説, 第28回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会)
- 16 CINにおけるHPV・16型DNAのphysical stateの検討。
- 15 Cervical Intraepithelial Neoplasia (CIN)並びに扁平上皮化生におけるヒトパピローマウイルスの存在について
- レーザースペックル法による末梢微小循環の計測と不定愁訴発生機序の解明 : 基礎的検討とKupperman Indexとの相関
- ワI-1 分子生物学的手法によるHPV感染の診断法と頸部腺癌におけるHPVの解析
- 2 子宮頸癌およびCIN組織に存在するHuman papillomavirus type 16 (HPV16)ゲノムについて
- 246. 子宮頸癌におけるHPV-16DNAの組み込みについて
- 45.ヒト顆粒膜細胞の培養前後における形態,機能の検討 : 第13群***の生理病理I
- 頚管妊娠の診断と治療-1-頚管妊娠の背景と教室症例の報告
- ラットCdkインヒビターp27のクローニングと機能解析
- Verruciform Xanthoma
- 肩平上皮化生,異形成上皮,ならびに上皮内癌におけるヒトパピローマウイルスDNAの検出
- ヒト培養顆粒膜細胞の内分泌学的形態学的研究
- 尿瘻,糞瘻(非癌性)および月経瘻の手術療法の予後 (予後診断) -- (婦人科篇--その他)
- 58. ヒト排卵前卵胞および黄体における細胞間結合
- P-298 Persistent Occiput Posterior Positions(POPP:持続性後方後頭位)の分娩統計
- 254 後期流産、早産とantiphospholipid antibody(APA)関与の検討
- 429 妊娠初診時細菌性膣症の治療と切迫流産におけるAPTT延長群の治療により分娩結果は改善されたか?
- 妊娠時における細菌性膣症(Bacterial Vaginosis, BVと略)の診断基準について
- 452 切迫流早産における自己免疫疾患関与の検討
- 尿路***の良性及び悪性腫瘍におけるHuman Papillomavirus(HPV)・DNAの検討
- 妊娠に合併した膵疾患
- 人口弁置換術の数年後に妊娠し,妊娠経過中に早剥を起こした1症例--特にデキストラン硫酸使用例について
- Human papilloma virus and cancer.