クラミジア感染の卵管に及ぼす影響と頚管内抗原, 血清IgG抗体との関連
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概要
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頚管内クラミジア感染は, 妊娠例においても高頻度で発見されることから, この感染自体は必ずしも妊娠を妨げないと考えられる. また卵管もクラミジアの主たる標的とされていることから, 不妊とのかかわりは, 過去の感染に起因する卵管の続発的変化にあると考えられる. そこで腹腔鏡所見をもとに, クラミジア感染の卵管に及ぼす影響と, そのスクリーニング手段としての頚管内抗原と血清IgG抗体の意義について検討を加えた. [対象および方法] (1)頚管内感染の検出にはChlamydiazyme法を, クラミジアIgGの測定にはmicro-immunofluorescence法(MIF)を使用した. (2)Chlamydiazyme陽性群(A群)は8例/15卵管, Chlamydiazyme陰性・MIF陽性群(B群)は20例/40卵管であり, A+B群を感染群, Chlamydiazyme 陰性・MIF陰性群14例/28卵管を対照群(C群)とした. (3)腹腔鏡所見は, (1)Perifimbrial adhesions (PFA), (2)Peritubal adhesions (PTA), (3)Tubal occlusion (TO)を異常所見とした. [結果] (1)対照群14例中2例(14.3%)に対して, 感染群では28例中11例(39.3%)に何らかの異常所見が認められ(p<0.1), とくにPFA, TOを有する卵管数に有意の差が存在した(p<0.05). (2)感染群のA, B群間の比較では, PFAはA群の2例(25.0%) 3側(20.0%), B群の5例(25.0%) 8側(20.0%)に, PTAはA群の1例(12.5%) 2側(13.3%), B群の4例(20.0%) 7側(17.5%)に, TOはA群の2例(25.0%) 3側(20.0%), B群の6例(30.0%) 11側(27.5%)に認められ, いずれの所見も両群間に出現頻度の差はなかった. (3) PID (Pelvic inflammatory disease)の既往をもたない感染群20例中15例はB群であった. [結論] クラミジア感染は卵管に潜在性の異常をもたらす可能性を有し, そのスクリーニングの手段としては, 頚管内抗原, PIDの既往の検索に加えて, クラミジアIgG抗体検査の有する意義はきわめて大きいと考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-09-01
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