子宮体部および頚部腺癌におけるvimentinの免疫組織化学的研究

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33例の体部腺癌, 21例の頚部腺癌および12例の子宮筋腫(正常内膜, 頚部を有する症例)を対象に, vimentinの局在ならびに抗原発現の強さを, 免疫組織化学的に検討した. 併せて10例の体部腺癌および4例の頚部腺癌の細胞診標本を対象に, 同様の検討を行った. 正常内膜組織においては, vimentinは間質細胞のみならず, 腺管上皮にも局在したが, 腺管上皮における抗原発現の強さは月経周期に伴い変動した. 概して増殖期に顕著な抗原発現がみられ, 分泌期に減弱する傾向がみられた. 一方, 正常頚部組織では, 間質細胞には明瞭なvimentinの抗原発現がみられたが, 腺管上皮にはほとんど認められなかった. 体部腺癌におけるvimentinは, 57.6%(19/33)の症例で中等度以上の抗原発現が認められたが, 頚部腺癌では9.5%(2/21)の低率で, しかもこの2例はいずれも類内膜型症例であった. また, 体部腺癌においては推計学上, 分化型腺癌, 筋層浸潤の浅いものでvimentinの抗原発現が有意に顕著であった. 一方, 間質細胞におけるvimentinの抗原発現は, 体部腺癌, 頚部腺癌ともに明瞭で, 両者の間に差は認められなかった. 細胞診標本を対象としたvimentinの免疫染色結果でも, 腺癌細胞における染色結果は組織レベルと同様の傾向が認められた. 以上の結果より, 子宮体部腺と頚部腺では同じMuller管由来ではあっても, 細胞骨格の構成要素に相違のあることが示唆されるとともに, この性質は癌化によっても失われないことが確認された. また体部腺癌においては, vimentinの抗原発現の強さが, 予後因子とも密接な関係をもつことが明らかとなった. さらに細胞診への応用結果から, 体部腺癌と頚部腺癌の細胞レベルでの鑑別にvimentin染色が有用性をもつと考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1990-09-01

子宮体部および頚部腺癌におけるvimentinの免疫組織化学的研究

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