妊婦の社会的要因と尿中カテコールアミン
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概要
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妊婦の日常生活に由来するさまざまなストレスを評価するために, 尿中カテコールアミンを測定した。アドレナリン, ノルアドレナリンは高速液体クロマトグラフィー法にて, クレアチニンはJaffe法にて測定し, カテコールアミン/クレアチニン比を算出し, 社会的因子も含めて比較検討した。勤務群 (n=35) の24時間尿のアドレナリンは非勤務群 (n=14) (p<0.001), 入院群 (n=20) (p<0.05) に比較して高値を示した。しかし, ノルアドレナリンは3群間で差は認められなかった。次に89名の外来通院している妊婦について早朝, 勤務終了時又は夕方, 就寝時の3点の随時尿のカテコールアミンを測定した。ノルアドレナリン, アドレナリンともに著明な日内変動が認められた。すなわち, 二者ともに早朝がもっとも低値であり, 勤務終了時 (又は夕方) に上昇 (p<2.0×10^<-8>) した。アドレナリンは就寝時に下降 (p≒1.0×10^<-5>) したが, ノルアドレナリンでは下降が認められなかった。また, 社会的要因との関係では, カテコールアミン分泌と, 勤務, あるいは家族構成との関連が認められた。すなわち, 勤務群 (n=53) のノルアドレナリンは非勤務群 (n=36) に比較して早朝 (p<0.05), 就寝時に (p<0.05) 高値を示した。また, 多世代家族群 (n=56) のアドレナリンは, 核家族群 (n=33) に比較して早朝 (p<0.05), 就寝時 (p<0.05) で高値を示した。以上より勤労妊婦, および多世代家族の妊婦は, より多くのストレス下にあると思われた。
- 1989-01-01
著者
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