いわゆる機能性不妊婦人に対するHMGを用いた過排卵療法の試み
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概要
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昭和59年7月より昭和62年12月末までの3年6カ月間に当科不妊外来を受診した456例のうち, 当科のルーチン検査 (基礎体温, 卵管通気検査, 子宮卵管造影, 頚管粘液検査, Huhnerテスト, 精液検査, 子宮内膜組織診 (日付診), LH-RH・TRH負荷テスト, 黄体中期卵巣性ステロイドホルモン測定, 超音波断層法による卵胞発育および精子不動化抗体の有無) に異常の認められない, いわゆる機能性不妊婦人17例 (年齢: 32.7±3.6歳, 不妊期間: 5.9±1.4年, いずれもM±S.D., 以下同様) に対して, HMG 投与によりin vivoで過排卵を惹起し受精・着床率を向上させることにより治療し得るかどうかを検討した。HMGは漸増法で1日あたり75〜450 iuを筋注し, 直径2.0 cm以上の卵胞が3〜4個確認された時点でHCG (10,000〜20,000 iu) に切り換え, 妊娠率, 黄体中期血中estradiol, progesteroneおよびprolactin値, 子宮内膜日付診上の"ずれ"について検討した。一部の症例にはbromocriptineを併用し, その効果も検討した。1) HMG総投与量は2,116.8±843.3 iuで, bromocriptine併用により1,643.6±778.5 iuと有意に低下した (p<0.02)。2) 黄体中期血中E_2, P値は, 投与前, HMG単独, bromocriptine併用周期でそれぞれE_2: 375.2±183.2, 1,437.5±1,370.8, 1,387.8±1,265.4 pg/ml, P: 19.3±11.5, 45.6±36.5, 42.8±38.2 ng/mlといずれも有意に上昇した (p<0.02〜0.005)。血中prolactin値は16.3±9.4, 25.5±12.5, 4.2±4.1 ng/mlとbromocriptine併用により有意に低下した (p<0.005)。3) 過排卵周期では12例中3例 (25.0%), 投与前では10例中2例 (20.0%) に日付診上の±2日以上の"ずれ"が認められたが有意差はなかった。4) 本治療により6例 (35.3%) に妊娠が成立した。1例は妊娠初期に自然流産となったが, 5例は正常分娩となり, 母児共に異常は認められなかった。5) 本治療の副作用としてOHSSがHMG単独: 16.1%, bromocriptine併用: 14.9%に認められたが, 入院安静により軽快した。以上より本治療法の有用性が明らかとなった。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-02-01
著者
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合阪 幸三
御茶ノ水・浜田病院
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吉松 淳
国立循環器病センター
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安藤 三郎
順天堂大
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多和田 哲雄
国際親善総合病院
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多和田 哲雄
順天堂大
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合阪 幸三
賛育会病院産婦人科
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吉田 浩介
賛育会病院産婦人科
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國保 健太郎
賛育会病院産婦人科
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友成 廉平
賛育会病院産婦人科
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安藤 三郎
賛育会病院産婦人科
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森 宏之
大分医科大学産科婦人科学教室
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森 宏之
大分医科大学 産婦人科
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多和田 哲雄
賛育会病院
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金田 幸枝
賛育会病院
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吉松 淳
賛育会病院
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佐々木 静子
賛育会病院
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佐々木 静子
賛育会病院産婦人科
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国保 健太郎
賛育会病院
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金田 幸枝
大分医科大学産科婦人科学教室
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合阪 幸三
賛育会病院
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吉田 浩介
賛育会病院 産婦人科
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安藤 三郎
賛育会病院 産婦人科
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國保 健太郎
賛育会病院 産婦人科
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