異常精液患者における精子機能テスト (Hypoosmotic swelling test) に関する研究

概要

論文の詳細を見る
精液所見に異常を認め妊娠に至らない患者 (異常精液患者) 74名, 精液所見に異常を認め, 配偶者間人工受精 (AIH) を行ったところ妊娠に至った症例 (AIH妊娠群) 7名, 妊孕性の確認ができている男性 (コントロール群) 10名を対象としてhypoosmotic swelling testを施行し, 以下の結果を得た。1) hypoosmotic swelling testの総精子膨化率, g type精子膨化率はともに異常精液患者ではコントロール群およびAIH妊娠群に比べて有意に低値であった。2) 総精子濃度, 精子運動率, 運動精子濃度とhypoosmotic swelling testにおける総精子膨化率およびg type精子膨化率との間には弱いながらも有意な正の相関関係が認められた。3) コントロール群のhypoosmotic swelling testの結果より基準値 (mean±2S.D.) を定めると, 総精子膨化率の基準値の下限は42%, g type精子膨化率の基準値の下限は14%となり, AIH妊娠群では1例のみg type精子膨化率が基準値以下であったが, それ以外はすべて基準値以上であった。以上のことよりhypoosmotic swelling testは一般精液検査と相関があり, また妊孕性の判定にもある程度利用できるので, 精子機能検査として有用であると推察された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-02-01