マンモグラフィスクリーニングの現状と課題(婦人科がんスクリーニングの有用性と問題点)
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概要
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マンモグラフィ併用による乳がん検診は,2000年の厚生省通達「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(老健第65号)を受けて,導入された.本邦において,本格的なマンモグラフィ検診の時代が到来したといえる.しかし,我が国において検診により,乳がん死亡率が減少したというデータは未だ得られていない.乳がん征圧はまず,質の高い検診から-すなわち,精度管理の整ったマンモグラフィ検診の普及が不可欠である.中でも,我が国に特徴的な検診システムの一つである,医師会型のマンモグラフィ検診の基礎作りが急がれる.医師会型マンモグラフィ併用検診の課題は3点にまとめられる.第1に,撮影精度に関する課題である.撮影実施施設の基準に示したように,乳房X線撮影装置が日本医学放射線学会の定める仕様基準を満たし,線量および画質基準を満たすこと,マンモグラフィ撮影技術および精度管理に関する基本講習プログラムに準じた講習会を修了した診療放射線技師が撮影すること,が遵守されなければならない.第2は,読影精度の向上である.我が国では,欧米と異なり,乳がん検診は,外科医および婦人科医により実施されてきた.今後,マンモグラフィ検診が普及しても,放射線科医の多くが読影に参加するという保証はない.そこで,従来から視触診検診に貢献してきた医師の参加が欠かせない.しかし,乳腺を専門とする外科医を除けば,十分な読影経験を持つ医師は少ない.しかるに,医師のマンモグラム読影講習会への参加が必須条件となる.我々は,マンモグラム読影に関する基本講習プログラムを作成し,実践してきた.このプログラムを医師会型検診に活かすことが最も現実的といえる.第3に,医師会型マンモグラフィ検診では,地域状況に応じたシステムの構築が重要である.検診の精度を高く維持するうえで,自治体,受診者,ならびに検診実施機関の緊密な連携が求められ,ここに医師会の果たす役割が大きい.全国的に乳がん検診の実態を調べると,受診率は10%程度であり,うちマンモグラフィ併用は20%以下で,全対象者の2%にも満たないのが現状といえる.このままでは,いつまでも死亡率が減少しない事態が憂慮される.さらに,乳がんは50歳前後の働き盛りの女性の命を奪うため,49歳以下へのマンモグラフィ導入も緊急の課題である.がん制圧は我が国の医療福祉施策の中で,最も大きなテーマである.今後は,都道府県に設置されている成人病検診管理指導協議会を活性化し,精度管理の実態を正確に把握するなど,質の高いがん検診を実施することが求められよう.ひとりでも多くの医師が,精度の高いマンモグラフィ検診の重要性を認識され,具体的に行動されることを望みたい.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 2003-08-01
著者
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大内 憲明
東北大学大学院医学系研究科
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大内 憲明
東北大学腫瘍外科
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大内 憲明
東北大学 医系研究 腫瘍外
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大内 憲明
東北大学 大学院医学系研究科
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大内 憲明
東北大学大学院医学系研究科・医学部外科病態学講座腫瘍外科学分野
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