婦人科がんの疫学特性(婦人科がんスクリーニングの有用性と問題点)
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概要
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わが国の婦人料系がんの予防対策のための基礎資料を得る目的で,厚生労働省の人口動態統計と国勢調査人口に基づいて,乳がん,子宮がん,卵巣がんの1950年以降の死亡数・率の動向を調べた.また,今後現在のような死亡動向かいましばらく続くとして,これらのがん死亡数・率の将来予測を行った(2000年〜2020年).2000年におけるわが国の全がん死亡数は,女で116,344人であり,そのうち乳がん,子宮がん,卵巣がんはそれぞれ9,171人,5,216人,3,993人で全部位のうち7.9%,4.5%,3.4%を占め,部位別では第5位,8位,11位にあった.またそれぞれ年齢調整死亡率は人口10万人当たり10.6,5.3,4.3であった.1950年以降,乳がん,卵巣がん死亡数(年齢調整死亡率)は増加(上昇)し,子宮がん死亡数は減少(低下)してきた.この傾向が続くとして2020年の死亡数を予測すると,それぞれ13,700人(2020年/1999年の比は1.54),7,600入(1.87),3,500人(0.68)ほどと推計された.ただし,子宮がんでは最近下げ止まりの傾向がみられ,上記の推計は過小評価の可能性があると思われる.卵巣がんにも最近低下の兆しがみられるが,真かどうか数年見守る必要がある.年齢階級別に乳がん死亡数の将来予測をみると40歳以上のどの年齢層でも増加することがみられた.年齢階級別に卵巣がん死亡数の予測を行うと増加の激しいのは80歳以上および70〜79歳の年齢層であった.年齢階級別に子宮がん死亡数の予測では80歳以上の高齢者では増加がみられたが,80歳以下の各年齢階級では減少がみられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 2003-08-01
著者
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