寒冷馴化および累代寒冷飼育ラットの褐色脂肪組織と骨格筋の脂肪酸組成
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概要
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寒冷馴化(CA)および累代寒冷飼育(25G)ラットで骨格筋と褐色脂肪組織(BAT)のトリグリセライト(TG), リン脂質(PL)分画の脂肪酸(FA)組成を検討した. 1. 骨格筋のTG:多不飽和FA(PU), 不飽和指数(UI)がヒラメ筋で赤筋, 白筋より高かった. CAでは白粉の飽和FA(SA)が低下, PUが上昇した. 25Gでは白筋でCAと同様の変化がみられた. またヒラメ筋では単不飽和FA(MU), PUの上昇, SAの低下がみられた. 2. 骨格筋のPL:TGに比較してSA, PUが高く, MUが低かった. CAでは赤筋でSAの上昇, PUの低下がみられた. 白筋, ヒラメ筋では変化がみられなかった. 25Gでは赤筋でCAと同方向の, しかし一層著しい変化が認められ, C20:4, UIが低下, すなわちリン脂質の不飽和化の低下が示された. 3. BATのTG:CAではSAの上昇, MUの低下がみられた. 25GではSAとPUの低下, MUの上昇がみられた. 4. BATのPL:CAではSA, PUの上昇, C20-4, AI, UIの上昇があり, 全体として不飽和化の促進がみられた. 25GはAI, C:24は上昇したが, UI, PUは変化しなかった. 以上の結果は寒冷馴化が熱産生に関係している組織のFA組成の変化をもたらすことを示すものであるが, その意義についてはさらに検討する必要があると考えられる.
- 日本体力医学会の論文
- 1988-04-01
著者
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