背筋力低位者の背筋機能の特徴 : 発育期の体力に関する基礎的研究

概要

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発育期の児童・生徒をはじめ,発育完了期の大学生に至るまで,十数年来背筋力が低下の一途をたどっている.本研究においては,背筋力が小さい児童と学生の背筋力測定時およびdynamicな運動時における背筋の活動の特徴を調べるために,僧帽筋・広背筋・脊柱起立筋などの筋からEMGを導出しそれを正規化して背筋力が大きい児童と学生の運動時のそれと比較した.そして,その特徴を探求することにより,最近の児童と学生の背筋力低下傾向の原因がどこにあるかを考察しようとした.背筋力が小さい児童は,背筋力が大きい児童に比べて,背筋力測定時では僧帽筋と脊柱起立筋の活動が統計的に有意に低く,特に脊柱起立筋の活動が顕著に低かった(p<0.01).自転車エルゴメーター運動時では彼らは脊柱起立筋の活動が低いのに対して僧帽筋の活動は逆に高い結果を示し,この傾向は運動負荷が増すと一層顕著となった.背筋力が小さい学生では,背筋力が大きい学生に比べて,背筋力測定時では,児童と同様に,脊柱起立筋の活動が低い結果を示した.ランニングにおいては,彼らは脊柱起立筋の活動が必らずしも低いという結果は得られなかったが,彼らにおいてはランニング速度の増加にともなって,脊柱起立筋の活動よりも僧帽筋または広背筋の活動が顕著に高くなる結果が得られた.以上の結果から,背筋力が小さい者は,背筋力測定時においてもdynamicな運動時でも背筋下都の筋よりも上部の筋の活動により多く頼るという特徴が見られる.従って,青少年の背筋力が低下してきている原因には,日常の身体活動で背筋下部の脊柱起立筋を使う機会が,減少してきていることが考えられる.
日本体力医学会の論文
1985-12-01

背筋力低位者の背筋機能の特徴 : 発育期の体力に関する基礎的研究

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