語彙判断課題と命名課題における中国語母語話者の日本語漢字アクセス
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概要
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本研究では,日本語を学習している中国語母語話者が日本語の漢字語をどのように処理しているかが検討された。刺激の漢字語はコンピュータに視覚提示され,実験Iで語彙判断課題,実験IIで命名課題が行われた。単語の種類は,形態・音韻・意味において,それぞれ,中国語と日本語が同じもの(似ているもの)/違うものの組み合わせで2×2×2の8種類であった。語彙判断課題の結果は,意味の似ているものと形態が同じものが速く判断された。音韻の主効果は見られなかった。また,命名課題の結果は,音韻の似ているものと意味の同じものが速く読まれた。形態は同じものが速く読まれる傾向が見られた。これらのことから,漢字の形態・音韻・意味において日本語と中国語の情報が似ているもの/同じものが強く結びついていることが確認された。また,漢字を読むとき,その目的が意味を取ることであれ,音読であれ,意味情報が活性化していることが示唆された。また,音韻情報は,最終出力で音読する命名課題で重要であることがわかった。そして,最終出力で音韻情報を必要としない語彙判断課題では,音韻情報はそれほど重要でないことが示唆された。
- 日本教育心理学会の論文
- 2002-12-25
著者
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