青年期女子の性同一性の発達 : 自尊感情,身体満足度との関連から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,第1に,青年期女子の性同一性を測定する尺度を開発してその発達過程を明らかにし,第2に,自尊感情および身体満足度と性同一性との関連を検討することにある。中1,中3,高2,大学に在籍する701名の女子青年に,性同一性,自尊感情,身体満足度を尋ねた。その結果,(1)女子青年の性同一性は,父への信頼,母への同一視,ステレオタイプな性役割への同調,性的成熟への戸惑い,性の非受容から構成される,(2)性同一性は中学1年から3年にかけて低下し,その後上昇するという発達的変化を示す,(3)身体満足度との関連から,青年前期には身体的側面において性同一性の危機が経験されている,(4)青年期における女子の自尊感情は,両親の良好な関係を認知し,その関係を生み出す源泉としての父親を頼りに思い尊敬できること,および自己の性を受容できることが関係していた。このことより,性同一性から摂食障害に至る過程において,母親の存在の背後にある父親の影響が小さくないことが示唆された。なお,性同一性尺度(GIIF)の信頼性,構成概念妥当性,および基準関連妥当性も併せて検証された。
- 2001-12-30
著者
関連論文
- 女子青年における達成動機と育児性との関連 : 女性性受容を媒介として
- 女子青年における育児性の発達
- 「女子青年における女性性受容と摂食障害傾向」へのコメントに対するリプライ
- 女子青年における女性性受容と摂食障害傾向 : 自尊感情,身体満足度,異性意識を媒介として
- 青年期女子の性同一性の発達 : 自尊感情,身体満足度との関連から
- 職業生活が中年期夫婦の関係満足度と主観的幸福感に及ぼす影響 : 妻の就業形態別にみたクロスオーバーの検討
- PD079 仕事へのコミットメントが夫婦関係と心理的健康に及ぼす影響 : ペア・データを用いた交差効果、流出効果の分析(ポスター発表D,研究発表)
- 青年期の人間関係にみられるジェンダー差 (特集 心の性差をめぐって)