幼児における特性推論の発達 : 特性・動機・行動の因果関係の理解
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
幼児が, (性格)特性・動機・行動の因果関係や, 特性は特定場面を越えて一貫した行動の原因となるということを理解しているかどうかについて検討した。具体的には, 3, 4, 5, 6歳児の4群を対象に, 動機・行動・結果からなる物語を提示し, 動機情報を用いて行為者の特性をラベリングし他場面における行動予測をすることができるかどうかを調べた。また, 動機・行動・結果の順に提示するか, 行動・結果・動機の順に提示するかということが, それらの推論過程に影響を及ぼすかどうかについても調べた。その結果, 特性のラベリングにおける動機情報の使用から, 特性・動機・行動の因果関係は3・4歳から理解し始めているが, 5歳からより確実に理解できるようになることが示唆された。そして行動予測における動機情報の使用と〔物語の動機-特性のラベリング-他場面における行動予測〕の回答の一貫性から, 特性は特定場面を越えて一貫した行動の原因となることは, 5歳から理解し始めているが, 6歳からより複雑な場面においても理解できるようになることが示唆された。このような発達過程が見出されたのに加えて, 幼児における特性推論過程には新近効果が見られることが推測された。
- 2000-09-30
著者
関連論文
- PA012 対人葛藤場面における他者の行動予測の発達過程 : 幼児・児童は他者の性格特性に基づいて対人葛藤方略を予測できるか
- 一次的ことばから二次的ことばへの移行
- 言語獲得研究の新潮流(4)学校文化への適応過程--一次的ことばから二次的ことばへの移行
- 子どもは教育のディスコースにどのように適応するか : 小学1年生の朝の会における教師と児童の発話の量的・質的分析より
- 子どもの暮らしの安全・安心 : 子どもの安全教育の新しいアプローチ
- 幼児における特性推論の発達 : 特性・動機・行動の因果関係の理解
- 幼児・児童におけるパーソナリティ特性の推論の発達 : 心の理論との関連
- 幼児における特性推論の発達 : 特性・動機・行動の因果関係の理解(城戸奨励賞を受賞して)
- PB75 学校文化への適応 (2) : 仲間関係の形成と親から見た心理的変化
- PF10 幼児における特性推論の発達過程 : 特性概念の基本的理解の獲得
- 教授過程 D-3 学校文化への適応 : 入学直後の教師と子どもの談話の分析から
- 小中学生と大学生における自発的特性推論
- PA054 パーソナリティ特性推論の発達過程 : 児童は他者について推論した複数の特性を関連づけられるか(ポスター発表A,研究発表)